セクサロイドは眠らない
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2001年08月25日(土) |
まだ知らぬ内臓の赤さを思い出させて、僕は、きみを思って射精する。 |
「一緒に帰ろう。ちょっと待ってて、鞄取ってくるから。」 きみがそう言って声を掛けてくれたのが、ちょっと嬉しくて。
「お待たせ。」 「ああ。」
校庭は、雨上がりで濡れて。僕達は水溜りを避けながら、ふざけ合ったり。
「1組の、例の子、やっぱ彼氏がいるみたいだよ。つまんねーの。」 きみがそうやって、軽く失望の言葉を出すと、僕はなぜか、心が浮き立つ。
「好きなヤツとか、いないの?」 きみはさりげなく聞いてくる。 「今はね。去年の子結局駄目だったよ。」 「へえ。お前モテそうなのにな。」 「うん。駄目なんだと。もっと相手してくれなきゃ嫌だとか。いろいろ。」 「ふうん。」
実際、僕は、きみとこうやって歩いているのが一番楽しい。
なんてことはきみには言えない。
「今日、泊まりに来る?」 きみは、無邪気に聞いてくる。
「うーん。やめとくわ。最近、お袋がうるさいし。」 「そうか。残念。お前と勉強すると、いろいろ教えてもらえて助かるんだけどなあ。」
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本当は、彼の部屋に行きたかった、と思う。だけど、最近、だんだん辛くなって来た。きみの、陽に焼けたなめらかな肌、きみの汗の匂い、きみの開けっぴろげの笑顔。
胸がずきん、と痛む。
ナイフを取り出して、眺める。きみの美しい肌に傷を付けるところを想像する。きみの首を締め、きみの喉がぎゅっと音をたて、きみが意識を失うところを想像する。ナイフに蛍光灯の光を当て、夢想する。きみの血が、このナイフを濡らすところを。
僕は、きみを想像して固くなる。
まだ。
まだだ。
本番はこれから。きみの体は、完全に僕に委ねられる。きみは僕の顔を見ながら。僕の手に次第に力がこもるのを、恍惚とした表情で見つめる。きみのペニスも固くなって。
その、きれいでしなやかに張りつめた肌。
きみの腹にナイフを滑らせる。
血がほとばしる。
暖かい。あたりに血の香りが立ち昇る。ナイフで割いた、その場所に手を差し入れて、きみの内臓に触れる。僕のもの。僕に捧げられた、愛の供物。
ああ。きみがここにいて、僕にその肉体を捧げてくれたら、どんなにか幸福だろう。それはできないから。僕は、ナイフで、僕の腕に傷をつける。その、深紅に、きみを思う。僕の腕に幾筋もついた傷が、きみの、まだ知らぬ内臓の赤さを思い出させて、僕は、きみを思って射精する。
無理にはできないから。
きみが愛してくれなきゃ、嫌だから。
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「おはよう。」 校門の前で、いつもの笑顔。
「怪我したのか?」 僕の腕を取る、きみ。
ああ。
汗をかいた手を握り締める。
きみの喉を間近に見て、僕はゴクリと唾を飲む。
「平気だよ。行こう。」
僕は、手を振りきって教室に向かう。
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