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2006年03月19日(日) 読書感想文とか

松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」
 別れ話がきっかけで大量服薬、閉鎖病棟へ強制入院させられた明日香という女性が主人公。
 テンポが良くすいすいと読めるけれど、重苦しさと笑いの両極を行ったり来たりしていた。それに加えて、自分がかつて精神科の入院をしたことがあるというその経験が余計に複雑なものを感じさせたのだと思う。
正常と異常の混在。その中でもまともだと思っていたひとに狂気を見るその瞬間背筋が寒くなった。
ラストで彼女が捨てた栗田さんのメールアドレスは、彼女の第二のスタートを意味するのだろう。けれどもわたしには、そういった人間関係は切り捨てたほうがいいよという声がしたような気がしたのだった。


諒 |MAIL