「静かな大地」を遠く離れて
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題:43話 最初の夏13 画:枯れた茎 話:獣道を辿ってアイヌの子らを追う
棒を持つ。歌を歌う。心細い藪を漕ぐ時の防衛手段。 「遠くで鳥の声はするけれども、人の声はしない。 だいたい人の気配がまったくない。」ことの不安、それと恍惚。
「あの頃は唱歌などなかったな。」と語る父。 猪瀬直樹『ふるさとを創った男』(文春文庫)を参照のこと。 “しみじみとした日本情緒”を醸し出す唱歌は、賛美歌のパクリで 急造された「感覚の制度化装置」とでも言うべきものだった。 由良さんたちの世代だと、そのへんをモロに被ってるということか。
考えてみればドイツのリートを移入したような山田耕筰メロディー とか、 スコットランド民謡とか、そういうもので「懐かしい」日本 を彷彿とさせることが出来るのだから、情緒というのはコワくて いい加減なものである。
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