「静かな大地」を遠く離れて
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題:21話 煙の匂い21 画:爪楊枝 話:大人は不安だったのだろう
よるべない船旅の途上。 鍋焼丸は石炭機関船なので航路は紀伊半島を廻って遠州灘からだろうか。 江戸後期に同じ淡路から蝦夷地へ赴いた高田屋嘉兵衛の北前船は日本海を 陸伝いに通った。海上交通の重要性に着目した日本社会の歴史像に関して 碩学・網野善彦先生と村井章介先生の本を、ぜひ新書で読みましょう(笑)
「煙の匂い」が稲田騒動の武力の表象だけでなく「文明開化」を背負わ された石炭機関の表象でもあったという配置において、序章は完結した。 口承の歴史のもつ、ふくらみみたいなものを、情報ではなく五感の問題 として語らせている。 おそらくあとは静内に到着する、あるいはその直前で章がわりでしょう。 興味は、このあともこういう語りのテンスで進行するのか、否か。 まぁこのまま単線路線で行くとしても途中でアイヌの民話みたいなものが 大事な挿話として入ってくることは容易に予想できる。 『母なる自然のおっぱい』で「キツネのチャランケ」なんかに触れていた ことを考えても、きっとそうでしょう。 にしても異言語の使用者が接触する際の、ディスコミュニケーションの 描き方はなかなか難問になるだろう。
#須賀敦子さんは忙しく仕事をしたあと夜一旦眠りにつき、 深夜に起き出して文章を書かれたそうだ。書くことへのこだわりが強い 人だったので、ずいぶん推敲を重ねて書き直したりしていたらしい。
・・・と書いているうちに眠ってしまった(^^; 上の三行は、要するに「眠い〜〜〜っ」ってだけの意味(笑) でね、なにも須賀アツコちゃんのお名前を出さずとも、 田中角栄氏だって同じようなエピソードを持っているわけで、 ようするにヒトカドの「仕事」した人は、 再起きしても意欲がはじけるくらいに強い「欲望」と「快感」が あったってことでしょう。ま、中長期的に肉体に悪いのは確かだが ヤメラレマヘンナァという状態に入るのでしょう。
タイトルのエグザイルからロバート・ハリス『エグザイルス』へ展開 してそのへんの「生きる欲望」みたいな話へと、流亡の旅人たちの話 からつなごうという遠大な野望があったのだけど、とてもじゃないが 睡魔に負けました。このへんがナマケモノですな(^^;
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