「静かな大地」を遠く離れて
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題:14話 煙の匂い14 画:魚の骨 話:あやふやな“昔のこと”の有りよう
昨日重大な情報に言及し損ねた。 この物語の少なくとも今掲載されているくだりが、御一新から40年後のこと だということ。厳密に稲田騒動が何年の事件なのか知らないが、40年とも なると日露戦争の前か後かというくらいの時代になる。 今後舞台になるはずの北海道日高地方の静内で有名なのは、サラブレッドと “二十間道路”なる道の桜並木。毎年ゴールデンウィークのころに満開となる。 映画「優駿」にも登場したのでご記憶の方もいらっしゃるかもしれない。
なんだって牧場の町に“二十間”もの幅の道路などが存在するのか。 それは、その道路がある特別な牧場へのアプローチだからだ。 その牧場とは、御料牧場。“御”の着くやんごとなき牧場である。 赤木駿介『日本競馬を創った男』(集英社文庫)などで、紹介されている 米国人エドウィン・ダンが関わった牧場でもある。 「人間の静かな大地」を切り開いて作られた近代の国家プロジェクト、 あるいは“公共事業”という見方もできる。 明治政府の強力な「富国強兵」路線をなぞるように軍馬の生産地となった日高。 大いに胡散臭い人物が徘徊していたであろう北海道の空気感を得るためには、 手塚治虫『シュマリ』が良い。あるいはもっと美麗でラブコメ調の『NY小町』 という大和和紀の作品も、違う意味でめっちゃおもしろい。
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