さてさてお久しぶりです。皆さん如何お過ごしでしょうか。私は相変わらず私です。駄目じゃん。駄目ですか? 駄目ですね。
さて、私はジブリアニメが大好きだと公言してはばからないわけでしていい大人がオタクでごめんなさい。いや別にジブリアニメが好きな点に関しては何ら悪いと思っていないのですがとりあえず謝ります。日本人ですから。その辺りはむしろ誤まっておりますがお気になさらず。 と、いうわけで千と千尋の神隠し。前々から見たいとは思っていつつもまだ見ていなかったので、本日DVDを買ってまいりました。他の方々やテレビなんかの風評では「面白かった」だとか「健気な千尋が可愛い」だとか、少々突っ込んだところで「カオナシが可哀想」というような評価だったので紅の豚レベルかなぁと思いつつ眺めていたのですが、そんな事を思っていた私が馬鹿でした。
スゲェって。
いや別にそんな事を思わずとも私は馬鹿なのですがなんでこんな凄いものを作れる人が紅の豚なんて作ったかなぁ。アレはアレで凄いといえば凄いですけどね。ザ・洋画皮肉(というと違うかな?)って感じで。 しかし、千と千尋の神隠し。文学ですな。現代文学作品。まさに日本が誇る映画だと言えるでしょう。テレビのコメンテーターとかは何を考えて「面白かった」なんて言ったのでしょうか。物語の本質を見れば、絶対にそういう感想は出てこないものだと思うのですが気のせいでしょうか。まあ、気のせいでもいいや。私は感動(というとまた少し語弊がありますが)しましたので。
って、ここまで言っておいて私の解釈が間違っていたら問題ですので一応どう思ったのかも書いておきますね。 一言で言いますと、この映画は「現代社会の在り様と監督のエール(希望?)」だと思いました。「人はそれほど捨てたものではなく、しかし捨てたもの(?)であり、善悪が並び立つものが社会ではなく、良し悪しは、良くも悪くも自らのみが判断しなければならず、だが判断が正しいとは限らず、良し悪しは存在し、正道とは何かを個として得なければならないが人は多様であり、しかし結局は人は個人であり、良し悪しは結局のところ見つからないものだが、自分は持つものである。だから世の中は思ったより素晴らしく、思ったより大変で、思ったより上手くいき、思ったより上手く行かず、計算外はつきもので、だからといって計算しないわけには行かず、“だからこそ”今の世の中は今ここにある全てである+カオナシの存在による現代社会との対比と現代だからこそのエールとそろそろ気づけよ日本人どもそして頑張れ」といった感じでしょうか。正直、人生経験の少なさのせいだと思うのですが、私如きではあやふやに読まざるを得ない部分がいくつかありましたので、本当はもっと深いかもしれません。意味があるだろうことはわかりましたけどね。逆に、もし私がまだ社会人として全く物事を経験していなかったら、また、他の人より少しだけそういう事について深く考えてしまうクセをもっていなかったら、絶対にわからなかっただろう部分が沢山ありました。特に、今まで大人と子供のどちらかといわれると子供だった新社会人(まだ大人じゃないかもしれませんが)としては、感慨深いものがあります。 とにかく、とてつもなく深い映画だと思いました。こんなテーマを子供が純粋に面白いと言えるアニメに仕立て上げるんだから宮崎監督は凄い。まあ、本質は子供にはわからないでしょうけどね。大人でも「今まで見た物語の中で一番感動したものがスラムダンク」というような人ではわからないでしょうが。ってそれは大人じゃないか。
私は以前この日記で「海が聞こえる」が面白いと書きましたが、純粋なファンタジーとしても凄い分だけこっちの方が上です。よーく考えてみると、この映画のファンタジー色はナウシカ並に高いです。むしろ、全く不必要な世界を作っていないし、ファンタジーにありがちな方向性(戦争とか)をもっていないので、こっちのほうが上かもしれません。この物語のためだけの物語として出来上がっているという意味で。 そして、アニメでなければならないものであり、かつ、よくこの内容を映画にできたものであるという二点が並び立つアニメ映画。これってなかなか無いんじゃないでしょうか。この中身はこういうファンタジーでなくしてしまうとアクが強くなって絶対に受け入れられませんからね。わざとアクを強くしているような演出でまろやかにしてる辺り流石に天才的です。
なんと言うか、凄かったり考えさせたりするマンガやら映画やらは沢山あるんでしょうが、格が違います。純粋な意味で深い「物語」だと思いました。スゲェ。
|