化粧品屋に顔を弄られに行った帰り、バスを降りてとぼ とぼと歩いていると、向こうの方に何かが落ちていた。 近付くにつれて、どうも帽子の様だと分った。 さらに近付くと、何だか見た事のある様な配色。 いやまさか、と思ったが、思いきって拾ってみると、ま さかと思っていたその通りだった。 会社の作業服の帽子だった。 状態から見ると、落としたばかりの様に見えたので、周 りを見渡してみたが、見知った作業服も車も見えない。 拾った物は仕方ないので、家に持ち帰った。
それにしても。 運命というか、偶然というか、縁ってあるんだなぁ、と。 拾った道は普段は降りないバス停からの道であって、い つも通りのバス停で降りいてたら拾わなかった訳だ。 遡れば、バスに乗る時だって、家の近くの三ケ所のバス 停を通る、複数の路線の中からその路線を選んだ事だっ て。 もっといえば、私がこの会社に入らなければ、拾う事自 体なかったはずだ。 運命なんて言葉は好きじゃ無いけど、人生の中の「道」 は何本もあって、知らない内にその一つを歩いていて、 でも全部繋がっているんだなぁ、なんて。 帽子一つでそこまで考えるのは、大袈裟かもしれないけ どね。
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