家のぬれ縁の下にズル柿が投げ込まれていたらしい。
ズル柿というのは、一足先に熟れて落ちてしまった 赤い柿のこと。ちなみに色はいいけど味はマズい。 ズル柿なんて落ちて道を汚すくらいの脳しかなくて 鳥しか食べない。そんなしょーもない物を、明らかに 個人の敷地内であるぬれ縁に投げ込むってどう考えても 嫌がらせである。悪意さえ感じる。 だいたいうちは田舎だから公道からかなり離れているし、 家も個人宅の坂の上だから、用のない人間がうっかり 坂を上がってくることはまずあり得ず、並々ならぬ 熱意がないと敷地に侵入することさえ考えつかない。 朝、掃除をしていて母が発見した。 「昨日奇麗に掃除しておいたのに、失礼しちゃうわ!」 動物の仕業だったらメルヒェンなんだけど、熟れて ぐずぐずの柿を口でくわえて持ち運ぶなんてまず不可能で、 持ち運べたら逆に恐い。しかも好意的じゃないし。 そう考えると人間の仕業なんだけど、これももちろん 嬉しくない。ふと、オカルト好きの母に言ってみた。 「誰かに恨まれて嫌がらせされたんじゃないの?」 つか、なんか呪術的だよな。 しかし母も負けていなかった。
「まさか、私があんまり奇麗に庭を掃除したから…!?」
そんな理由で恨まれちゃたまらないだろ。
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