2007年10月28日(日)



【空】


家の隣の
歩道橋がなくなったんだ
平屋の家で
二階が無かったあの頃
空に近づける場所は
そこしかなかった


数日間の夜間工事で
それはあっという間に
取り除かれてしまった
寂しくて仕方なかったよ
僕の唯一の空への階段が
無くなってしまったから


でも不思議なんだ


無くなったら
空が一層広く
そして近く見える事に気付いた


歩道橋が無い分、空が、近いなんて


なんでか涙が出そうになった
あんまり空が青くて
あんまり空が広くて


そこに在った物が消えて
そうして消えた景色が
当たり前に成っていく


変化を知らず知らずのうちに
受け止めて飲み込んで
そうして絶望しながらも
僕は生きていく
生きる事を、毎日選んで行く


後悔なんてしない日は無い
何時だって後悔ばかりだ
だけどそれでも
やっぱり


あの空に、手を伸ばして
あの青に、手を伸ばして


希望だけは、小さく胸に灯して


僕は何時だって空に


手を伸ばす






 


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