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2003年09月25日(木) 小泉純一郎は吉田茂以来の名宰相になれるか

自民党総裁選挙に圧勝した小泉純一郎首相は党・内閣の人事で「小泉流」を貫き
思い通りにことをやってのけた。
かつて、これほど強い力を持った首相は、ワンマン吉田茂以来ではないだろうか。
7年8ヶ月の最長不倒政権を築いた佐藤栄作首相などもかなりの力を持っていたが、
「角福」というポスト佐藤を窺う実力者を内部に抱え、外には三木・前尾のような
批判勢力も健在だった。
また、中曽根康弘首相の場合も「安竹宮」のバランスの上に乗っかり、
影の実力者・金丸の力も無視できなかった。
これに対して小泉には、その地位を脅かす有力者は誰もいないし、そして
森・青木の影響力も、今回の人事に見られるように天才的な政局技術で封じこめる
ことが可能である。
しかも配下に「吉田学校」の門下生たちを従えていた吉田茂と違って小泉は、
手勢も子分も持たずたった一人、己れの才覚だけで切り回しているのだから凄まじい。
「バルカン政治家」と言われた寝業師・三木武夫も凌ぐ政局操縦術である。
せめてその才能の10分の1でも政策面で発揮してくれれば、
文字通り吉田茂を越える大宰相になれるのに、と思う。
というのも、景気の悪い時に長期政権を築いた首相は誰もいないからだ。
吉田茂は戦後の復興期に政権を担当し、朝鮮特需などもあって政権を安定させた。
佐藤栄作も、「佐藤無策」「何もやらない栄ちゃん」などと悪口を叩かれていたが、
時はまだ経済が右肩上がりしていた高度成長期であり、国民の不満は
自民党政権には向わなかった
(それもわからずいつまでも社会主義の寝言を唱えていたので社会党は衰退した)。
また、中曽根康弘も、バブル景気に支えられていたものだ。
当り前の話だが、いつまでも不景気が続けば、国民の政治への不満は蓄積される。
今いかに小泉には党内に敵がなかろうと、或いは野党が弱くてだらしなかろうと、
失政を続ければいずれ倒閣に追い込まれるだろう。
逆に構造改革を成功させデフレ不況も克服して景気を好転させられれば
小泉は歴史に名宰相としてその名を刻まれるのはまちがいないのだが・・・、
果して、如何?


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