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2002年11月30日(土) マスコミが煽る政治不信の虚実

北朝鮮問題に気を取られがちだが、国内の政局も慌しくなっている。
民主・自由両党合流による新党構想だ。

今現在は反鳩山感情や小沢アレルギーから民主党の分裂含みだが、
でも総選挙を睨めば結局、中期的には野党結集しかないのではないか。
その過程で自民予備軍が出ていくのは勝手だし、
旧社会党横路一派が付いてこなくても仕方ない(勿論社民党はオヨビでない)。
いずれにしろ政党政治の下では二大政党もしくは勢力制以外の選択肢はない。
そうでなければ自民党政権が永久に続くし、やがて小泉も引き摺り下ろされて
守旧派が復活するだけだろう。

さて、新党問題の急浮上で考えが狂ってしまったが、本当は、マスコミが煽る政党不信
ついて少し書きたかった。

先週の日曜日(24日)の朝日新聞社説で取りあげられていたし、
筑紫哲也も同じ事を26日の「多事争論」で述べていたが、
地方の市長選挙で無党派候補の勝利が相次ぎ、有権者の「政党嫌い」が広がっているという話である。
これには若干疑問がある。

まず、地方の一首長選挙を国政に結びつける事への疑問だ。
無党派勝利の波は、3月の横浜市長選挙から先日の尼崎市長選に続いている。
しかし横浜にしろ尼崎にしろ、単に多選・高齢の現職が批判を浴び若い新人候補に敗れたものだ。
これは国政や政局に必ずしも直結しない。地方はあくまで地方自治の問題に過ぎないのである。

また、横浜の中田氏は元々政党に所属していた国会議員だし、尼崎の白井氏にしろ
共産党の支持は得ている。にもかかわらず「無党派大勝利」と言うのは大袈裟だろう。
しかも彼等は、たかだか40%前後の投票率の選挙で、その半分強の得票率に過ぎない。
つまり全有権者の20%以下の支持しかないのである。
その程度で、「無党派の風が吹いている」と言えるのだろうか?

筑紫は、政党や組織に有利な低投票率にもかかわらず無党派が勝った事が重要であるかのように強調している。
しかしこれは詭弁である。
政党や組織さえ不信なら投票率が低くても問題ないのだろうか?
先の統一補欠選挙の時は、低投票率そのものを問題視していたくせに、
無党派さえ勝てば低投票率で良かったかのような論調は、全くのご都合主義だろう。

そもそも無党派や無所属なぞ、中央の政治では何の役にも立たない。
知事や市長ならそれでもいいが、しかし国政は議会制民主主義なのである。
つまり、政党政治なのだ。
もし政党を否定したら、それこそ筑紫の危惧する「大政翼賛会」か軍事政権にしかならないのだが、
それでもいいのだろうか?

まあ、筑紫はそれを内心望んでいるのかもしれないが…実態はそう簡単ではない。
つまり、右であれ左であれマスコミにとって、政治不信や政党不信の状況は実に都合が良いと言う事だ。
マスコミが直接影響力を行使できるからである。
だから無党派に加担し、やたら政党不信を炊きつけている次第である。

マスコミによる政党不信や政治不信は、所詮、自分たちのご都合主義による無責任な煽りに過ぎない。
政治不信は不信で構わないが、、、しかしそれを煽るマスコミのその意図も疑ってかかる必要がある。
国民の僅かな政治参加の機会である、有権者の1票は無駄にしたくないものだ。


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