愛される理由 2007年09月10日(月)

秋の虫と言えば、わびさび系の生き物ですが、「耳を澄ませば秋の声、風流ですこと」というには実際のところ、近くで鳴かれると蝉ぐらい騒々しいその秋の虫の一種コオロギが先日から母を悩ませており、母が言うには丁度寝室の開け放した窓の下あたりに陣取っているコオロギの鳴き声が夜な夜なうるさくてかなわないとのことでしたので、噴射式殺虫剤を持ち出し、その付近を一吹き、二吹きしてみたところ、びょんびょんと跳ねながら出てきたコオロギにさらに数吹きし、意外にもゴキブリ以上の生命力であがいてみせたものの、ホースで散水するに至るとさすがにどこかへ流れていってしまい、ようやく母の安眠を取り戻せたわけですが、ゴキブリと違い、相手がコオロギですと何となく胸が痛むような気がするのは、同じ虫で見た目や色合いは大して違わないような気がするのに理不尽なことよと思えなくもないのですが、ふとゴキブリが鳴く虫であったなら、1匹見かければ三十匹というからには、家内がたいそう騒々しいことになるわけで、それともその声が美しければゴキブリも人に愛でられる対象になり得たのだろうかなどと考えているうちに秋の夜は更けていくわけです。

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