普段使わない和室に入ったところ、ガラス製の電灯のかさに大きな穴が開いていたので驚いて母を呼び、どうしたことかと尋ねたところ、母もわけを知らず、「もしかして、この間泊まりに来てこの部屋で寝たＫが割ったのでは？」などと言い、それにしては破片がどこにもないことについて、「割って、隠そうとして破片も片づけてしまったのでは？」と母は推理したのだが、甥であるＫはそんな隠し事をするような子ではなく、割ったら素直に割ったと言うに違いない、と言うか、割ったことが隠さなければならないほど悪いことだとは考えないタイプだ、などと反論しているところへ、「どうした？」と言いながらやってきた父に事情を話すと、今まさに、自分が壊してしまいこっそり治そうとしていたその手にはボンドが握られていたわけで、しかしそれ以来、自分の犯罪が露見したのでもういいかと思ったのか、父が電灯を直す気配はないのだった。
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