凝り性 2004年12月09日(木)

わたくしの親は妙なところで凝り性でして、お好み焼きの鉄板は厚くないと美味くないなどと申し、相応のものを欲しがるようになりました。それなら業務用でも買えば良かろうものですが、昔は今のように一般の者が専用品を買うことは難しかったようでございます。そこで両親は突然見知らぬ鉄工所に車で乗りつけ、「すみませんが、そこの鉄板、切ってください」などとお頼みし、分厚い鉄の板を適当な大きさに切ってもらい、購入してきたのでございます。両親の、その非常識な行動力と、お好み焼きにかける不可思議な情熱に驚きながらも、確かに分厚い鉄板で焼いたお好み焼きの味には、感心したものでございます。しかし、当家でそれが使われたのは、ほんのわずかな間だったと記憶しております。と言いますのも、切りっぱなしの鉄板には把手がございませんので、平たく、重量があり、使用後はしばらく熱を放ち続けるものの扱いに、たいそう難儀したことが原因だったようでございます。

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