新札が出回りまして既に四日が過ぎてしまったわけですが、いまだ私の周囲には新札の気配はなく、既に社内には「見て見て！ 新札ーぅ！」などと、新しい物を手に小躍りするような若人もいないために、テレビのニュース映像で拝んで以降、生新札はついぞ見ることも触ることも叶わなかったのでございます。
このまま、いつまでも買い物などのおつりで回ってくるのを待っていては埒が明かず、早く新札のキラキラをためつすがめつしてみたいという欲求は日増しに高まり、また世に後れを取るのではないかという焦燥もかすかに覚え、邪道とは思いつつもＡＴＭにおすがりしてみることに致しました。
そうしてわたくしは、さっそく地元のＡＴＭに行きまして、全ての新札を手に入れるためには一万九千円をおろせばいいのではないか、などと浅はかに考え、そのように指定致しました。
しかしながら、お察しの通り、出てきたお札は一万円札が一枚と、千円札が九枚の組み合わせとなり、五千円札は混ざっておりませんでした。そして何より悲しいことに、それらのお札は全て旧札だったのでございます。
My追加
