| 中国旅行の思い出 | 2004年04月11日(日) |
上海に行った時のことです。 一人、ふらふら上海の街を散策してホテルに帰ってくると、友人二人が「遅い。待っていた」などと、約束もしていないのに理不尽なことを言います。 そう言えば、そもそも中国旅行に行くことになったのも、この二人が「説明会に行く」と言いだし、よくわからないままついていくと、旅行の説明会で、行くとも行かないとも決めていないうちに、その日二人の盛り上がりに乗せられて、いつの間にか申し込みをしていたのでした。 その二人が帰ってきた私をそのまま外へ連れ出し、突然「これから蛇を食いに行く」と言いました。げてもの料理にはそれほど興味のない私なので「二人で行って来い」と、断りましたが二人は聞いちゃいません。 まあいいか、と思っているうちに二人がいつの間にかリサーチしていた上海でも老舗の有名店とやらにつきました。が、有名店だけあって予約が必要のため、既に席は満杯で、今日は駄目だと断られました。じゃあ、諦めて帰ろうか、と言う私を無視して友人二人は口々に「この店を楽しみにわざわざ日本から来た」「明日は帰国するので絶対今日しか駄目だ」などと、矛盾だらけの嘘を言い募り、人民の方を困らせています。 そのうち「食べさせてもらえるまで帰らない」だの「何時間でも待つ」だの「泣きたい」だの、玄関口で身振り手振りを交えた日本語でわめきたて、絵に描いたような迷惑ドキュン外国人観光客になりはてていました。 私は、これまで蛇のへの字も口にしていなかったいこつらの、突然の蛇への情熱をいぶかしく思いながら、後ろで控えめに「そうだ、そうだ」「それはもっともだ」と、友人側、店側の主張双方に合いの手を入れておきました。きっと、前日に二人で食べに行った本場の北京ダックが思ったより美味くなかったという不平を昨日の夜にまくし立てていたので、美食に対する欲求不満がたまっていたのでしょう。 結局、お店の人も辟易したのか、哀れに思ったのか、呆れたのか、最後には折れてくれ、予約なしで食べさせてくれることになりました。 しかし、本当に席はなかったらしく、私たちが通されたのは雑然とした菓子用の厨房でした。調理用具や材料が乱雑に置かれた机をてきぱきと片づけてくれ、その上にテーブルクロスまで敷いてくれ、そこで食事をさせてもらえたのです。 蛇は鶏のささみのような淡白な味で、これと言って特徴のあるものではありませんでしたが、料理はさすがに老舗と言われるだけあって、どれも大変美味しいものでした。 言葉は全くわからないのですが、料理人がやってきて感想を訊いているようだったので、私たちが「おいしい、おいしい」と激しく連呼すると、彼は嬉しそうに笑いました。 食事が終わったあとには、横で作業中だった菓子職人が釜から出した焼きたての月餅をくれました。 それまで一ヶ月近く中国各地を周り、共産圏のサービスの日本とのあまりの違いに殺伐としていた私たちにとって、その店での応対は非常に嬉しくありがたいもので、感激しました。 中国旅行の中でも一番の忘れがたい、いい思い出です。 |
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