- 2005年11月04日(金) 空想
飛行機の中から富士山をずっと見ていた。 薄く雪化粧をした姿が、背伸びしていた中学時代のあの子にかぶった。
あどけない顔立ち。 後ろでまとめた髪に茶色の長いリボン。 小さな運動靴。
「名前なんていったかな・・・」 忘れ物を捜すように顔をしかめて考えていたその時。 スチュワーデスが飲み物を持ってきた。
中学生の時、私はろくな思い出がない。 日々、ふざけて過ごすのに精一杯。 今思えば良いことも悪いことも、すべて良いと感じていたのがこの時期。 机に彫り物したり、殴り合いしたり、何度も校長室に通ったっけ。
勉強をする理由が見つからず、何もしたくなかった心の中。 英語の先生と喧嘩して試験を白紙で提出したこと。 美術の先生も嫌いで、絵を描かずに焼いてもらった絵皿があること。
大人になりきれないあの頃。 全く、嫌なことばかり思い出すもんだ。
不良がのさばりだしたのもこの時期。 学校の中はグループ同士で対立を繰り返す戦国時代に入っていったっけ。
昨日の友は今日の敵。 結構、難しい時期だったと今でも感じている。
窓の外を見れば、芙蓉の峰はもうどこかへ消えてしまい眼下に広がる大阪の街。 景色の移り変わりの速さに驚いた。
徐々に高度を下げる機体。 そして、街に手が届きそうな不安な進入姿勢。
道に止まっている車も、校庭でサッカーをする子供たちも。 しっかり見下ろしながらの着陸。
伊丹の空港問題は、必ず教科書に載っていた気がする。 何年経とうが変わらないものは変わらない。
でも、大阪がこんなに近く感じるのも。 1万円をあっさり使い切ってしまうことも。 あの頃じゃ、考えもしなかった。
時間は人を変える。
そしてもう、戻れない。
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