後悔日誌
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2005年10月08日(土) 鹿


「沖に鹿が泳いでいます。」

そんな話を聞いても誰が信用するんだろう。
教えてくれた後輩の頭を小突き、馬鹿言ってんじゃないと鼻で笑っていた。

ところが、不審な動きをする船が黒い塊の周りを右往左往している。
望遠のデジカメや双眼鏡で監視を続けると確かに、角があった。


ここは釜石。
切り立った崖に囲まれたリアス式海岸の海。
崖から落ちた鹿が潮に乗ってこんな所まで来たんだろうか。


不審な動きの船は一生懸命伴走し、どうやら浜へ追い込んでいるようにも見えた。
鹿の泳ぎは早くて、放っておくとどんどん先へ進む。
これがまた、沖のほうに戻ろうとするから性質が悪いのだ。


長丁場になると踏んで食事を取りにいった。
まもなく日没というタイミングの夕飯。
窓の外で空の色が青からオレンジに変わって、深い紺色になった。


後で聞いた話では、鹿はしばらく泳いでいたそうだがやがて海の底に沈んでいったらしい。

結果は初めから分かっていたのかもしれないけど。
可能性のある結末だっただけに残念。

あと少し体力があれば浜までたどり着けたかもしれないし。
本当はパニックしてたのかもしれない。

真っ暗な海に吸い込まれて最後に何を思ったんだろう。
果敢ないね。



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