日常些細事
DiaryINDEXpastwill


2005年03月18日(金) なんたること

 
朝帰宅すると、2階に上がる階段の前で猫が死んでいた。まだ生後1年ぐらいの白い猫である。うちに悪さをしにやってくる野良猫の一匹だ。
 もう事切れてから大分時間が経っているらしく、猫は両耳と両足をぴんと伸ばし、固くなって横様に倒れていた。かすかに開いた口から小さな牙がはみ出していて、いかにも無念そうである。目を閉じていたのがわずかな救いだろうか。
 首筋には錐で刺したような鋭い傷跡があって、周辺の白い毛が真赤に染まっている。他に傷は見当たらない。噛まれたのか引っかかれたのかわからないが、どうもこの一撃で殺害されてしまったようだ。
 大した手練の下手人であるが、犯人は犬ではないと思う。このあたりはほとんど一戸建ての住宅で占められていて、犬を飼っている家も多いのだが、私は引っ越してきて10年以上になるけれど、放し飼いにされて自由に道を歩き回っている犬を見たことがない。皆首に紐をつけられて、飼い主と一緒におとなしく散歩している連中ばかりである。
 飼い主が犬をけしかけるというのも考えにくい。ここは古い町で先祖代々住んでいるような人が多く、隣近所が結構濃厚な付き合いをしていて、そんなアブナイ人がいたらたちどころに町内中知れ渡ってしまうのだ。
 実は一番考えられるのは、同じ野良猫にやられたのではないかということ。どういうわけだか我が家は猫にとても人気のある物件で、常時10匹ぐらいが出入りしているのだが、気がつくと階段や屋根の上で大の字になって寝ていたり、獲ってきたスズメをばりばり食っていたりする。
 これくらいなら私も大目に見てやるのだが、困るのは1階の出入り口付近にしょっちゅう糞をされることである。それで見かけるたびに水をぶっかけたり、鼻の曲がるような臭いのする薬剤を撒いてみたりしているのだが、残念ながら効果はさっぱりだ。
 なわばり争いなのか牝の取り合いなのか、取っ組み合いのケンカをしているところもよく見かける。この若い猫もそんな抗争の被害者なのかもしれない。
 
 遺骸をこのままほっておくわけにもいかず、ビニール袋に入れて車に乗せ、近くの河原へ埋めに行く。私の愛車パジェロJr「たまたま号」は四輪駆動車なので、人知れず河原の奥深く死体を埋めに行くにはなかなか便利である。おまけに車内には折畳式のスコップを常備してある。まあ、猫の墓を掘るために買ったものではないけれど。
 すばやく用事を済ませて帰宅。
 猫の死んでいた場所に買ってきたキャットフードを置き、線香を立てて拝んでおく。
 やすらかにねむってください。
 うちに祟らないでください。


高橋もんだる院 |HomePage

My追加