日常些細事
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2003年11月02日(日) 続々・すあまをさがして

 所用で岡山天満屋(注)に行く。
 用事を済ませたあとお菓子売り場に立ち寄った。
「すあまありませんか」
半ばあきらめ顔に訊ねると若い女子店員が
「はい。あります」
と言うではないか。
おお!
ついに見つけた!
「ど、ど、どれですか。」
 思わず声が上ずってしまう。
 思い返せばひと月前。
 ひょんなことから『すあま』なる和菓子の存在を知った私は、
「どんなお菓子なんだろう」
 いたく興味を惹かれて多くの店を捜し歩いた。
すあまはなかなか見つからない。関東地方の産であるすあまの知名度は、ここ岡山県ではゼロに等しい。お菓子屋の関係者でさえ名前を知らないくらいなのだ。
 あるときは冷たくあしらわれ、あるときは「変な人」と思われ店から体よく追い払われた。
 お菓子屋に行く途中で突然の雨に降られ、ずぶ濡れになったこともあった。
 だがついに、これまでの苦労が報われる日がやって来たのである。
 わくわく。
 待つことしばし。
「これです」
店員がショーケースから小さなお菓子を取り出し、私の前に置いた。
 ん?
 なんだこれは。
 10円玉ぐらいの大きさをした緑の玉。表面にはザラメの砂糖がふりかけられている。
Webで見たすあまは
 でっかいナルト巻き
みたいだったが。
 私はおそるおそる女子店員に訊ねた。
「これ、すあまですか」
「はい。すはまです」
「すあま、ですよね」
「いえ。すはま、です」
「えーと・・・」

『素甘。 菓子の名。イ・「すはま」に同じ。ロ・粳米の粉に白砂糖を混ぜ、搗いた餅状の菓子』

 もうすっかり暗記してしまった広辞苑「すあま」の項。
 これによると「すあま」と「すはま」は同じものである。
 しかし目の前にあるすはまは、材料が
『きな粉、砂糖、クチナシ色素』
となっていて、『粳米の粉に白砂糖を混ぜ』という説明と違ってしまう。
 世の中には色々な種類のすあまがあるのだろうか。
 いまひとつ納得できなかったが、ともかく一袋を購入。
 8個入り350円(税別)。製造元は芭蕉庵。商品名を「まりも」という。
 名前のとおり、見た目は阿寒湖の土産屋で売っている小さなマリモそっくりである。
 口に入れるとさくさくとした歯ごたえで、きな粉のひなびた味がした。
 これはこれで美味しいお菓子であったが。

(注)地元資本で岡山県最大手の百貨店


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