君の記憶
梨生



 すげぇ好きだった

私たちはいつのまにか自然消滅みたいになってしまっていたけどあなたがやっぱりちゃんと話をしてから別れようと言うので久し振りにいつもの場所で待ち合わせして何でもないことをダラダラと話していたけど重たい空気であぁ帰りたいなと思っていた私にあなたは突然
「オレお前のこと、すげぇ好きだった」
なんていうから私はハッとしてそれからわんわん泣いてしまって何も言えなくてでも結局私たちは別れてしまいました


しばらくしてからあなたの友達が
「あいつお前のことすっげぇ好きだったんだぜ」
なんて言ってきたから私も
「うん。知ってる。私もあいつのこと、すげぇ好きだったんだ」
なんて言ったらなんだか悲しくなってなんであの時私もすげぇ好きだったってちゃんと言えなかったんだろうと思ったらもう涙が止まらなくてまたわんわんと泣いてしまいました


私たちは若かったから「愛してる」なんて口にできなくて

でも今思えばやっぱりあれは「愛してる」じゃなくて

ただ本当に「すげぇ好きだった」

そして今思うと「すげぇ好きだった」のはあなただけ

もうただ誰かを一生懸命好きになるなんて

これからもできそうにないな

だから「すげぇ好きだった」のはあなただけ、だ

2002年02月24日(日)
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