Espressoを飲みながら

2003年08月17日(日) ねこぢるとハリガネムシ

 阪急グランドビルのコミック紀伊国屋にて、
ねこぢるの単行本を一挙に5冊購入。最初は東通りの
「まんだらけ」まで探しに行ったのだが、あの広大な
店内を隅から隅まで目を凝らして探した挙句に発見できず。

 「ねこぢるせんべい」から少しずつ読み始めています。
カミュの「異邦人」どころではない(爆)不条理な残酷さが
シリーズ全体を統一していますが、絵がめっちゃ子供にも
親しめるネコキャラ主体なので、軽く流せてしまう。
でもやっぱりインパクト強い、というちょっと眩暈のするような
魅力のある作品です。

 それから・・・暇にあかせて文藝春秋を買ってしまいました。
芥川賞が丸ごと載っているから買ったという、本当にそれだけ。
ハリガネムシという作品が今年の受賞作だそうです。
昨日、今日と全て近鉄電車内で読み切ったのですが、
はっきり言って、なぜにこれが芥川賞なのかわからない、というよりも
そもそも芥川賞って一体なんなんだろうと思ってしまいました。
別に下手だとか文体が嫌いということではなく、どうしてこの作品が
特別視されるのか、本当にわからない。私の感覚と選考委員の人達の
感覚が違うこともあるのでしょうが、ほんとに「なぜに?」という感じ。

 ハリガネムシというのは、主にカマキリに寄生する細長い回虫です。
私も見たことがありますが、はっきり言ってすごい気持ち悪いやつです。
小説中にも登場しますが、「自分の中にハリガネムシのように巣食う
暴力」というのが題名の意味するところです。

 主人公は高校教師(副担任)で、同僚の女教師(担任)にHな妄想を
日々抱いています。ある日、以前一度行ったソープ嬢から電話がかかって
きて、いろいろしてる内に一緒に暮らしたり旅行するようになるのですが
そうする中でどんどん主人公、サチコ、その周りの人々の暴力性が顕わに
なっていくというストーリーです(はしょり過ぎ?)。

暴力シーンはなかなかえげつないですが、表現力に欠けるところもあり、
村上龍は「痛みが伝わってこなかった」とその部分を評していました。

 僕個人的には残酷さ、とか暴力という主題を秀逸に扱っているとは
評しがたく、どちらかというと陳腐な印象を拭えません。ようするに
サチコと付き合って行く中でそれまで知らなかった自分の暴力性が目覚め
それをサチコにぶつけていってしまう訳ですが、単に主人公の人格異常かも
とも思ってしまいます。

 というわけで、今日のヒット=ねこぢるせんべい、今日の空振り=
ハリガネムシ、テーマ=残酷さ、でした(強引なまとめ)。

 


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空遊 [MAIL]

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