SPICY TALK

職場にて、その場の雰囲気を和ませる理由もあってワタシは同僚達に夫の話しをすることがある。
昨日は週末のこんな出来事をみんなに披露した。

家の廊下を急いで居間に歩いて行くワタシに気付かず、隊長が廊下の途中にある洗面所のドアを開けた為、いきなり開いたドアと正面衝突したワタシは、ドアノブが見事に鳩尾に食い込み、あまりの痛みに地べたに突っ伏しながら声も出せずにいたところ、
「ごめん！悪かった！大丈夫か！ちょっと！骨折れたの！？救急車呼ぶ？ちょっと！」
とそのセリフとは裏腹に、声色は間違いなくキレていて、その上、まだ呻き声しか出せないワタシにますますイライラしたのか
「悪かったよ！ごめんって言ってるだろ！こっそり歩いてくるおまえが悪い！廊下を歩く時は唄でも歌って来いよ！」
とまで言い出すではないか。

なんでこんな痛い目にあって逆ギレまでされなきゃならないんだろう？
きっとこの人は将来人を殺める事があったとしたら、手に血で染まったナイフを持ちながら、同じように逆ギレするろくでなしなんだろうな・・・・と痛みに目を潤ませながらワタシはそう確信した。

そんなワタシの話しを聞いた同僚達は、予想通り和んでくれたのだが、スクール長が「ご主人の好きなところを３つ挙げてみて」と言う。
気に入らないところならスラスラと１００は言えるのに好きなところは中々思い浮かばない。
「クレーム処理を買って出てくれるところと、けして弱音をはかない強いところです！」と２つは言えたのだが、最後の１つが本当に思い浮かばない。
少々時間をいただき、そう言えば今朝「今日は餃子だから早く帰って来てね！」と言ったら「わかったー！」と出て行ったことを思い出し「餃子の皮を包んでくれることです！」とようやく答えた。

そんな会社での出来事を思い出しながら晩ご飯の準備をしていると、１１時過ぎに疲れ果てた隊長が帰って来た。
「腹減ったなー、ご飯すぐ？」と聞くので「餃子包んでくれるんでしょ？」と言うと「オレやることあるんだけど」ととたんに不機嫌になるではないか。
あーあーまたかぁー、あんなこと会社で言わなきゃ良かった、２つで打ち止めにしておけば良かったよ・・・・そう思いながらイジイジと餃子を包み始めると、ワタシの不器用な手捌きにますますイライラしたのだろう「ああ！そこどけ！オレがやる！」と餃子を包み始めてくれた。
ヤッター！
ワタシは隊長の見事な手捌きを眺めながら「今日会社でねー」とあらましを説明し始めた。

少しずつご機嫌を回復した隊長の手によって、餃子は無事に包まれた。
今夜も見事に美しく。
しかし、色鮮やかに青タンの残った鳩尾を持つワタシの手によって、その餃子は焼かれ、それはもう見事に焦がされたのであった。
えへっ♪