それは昨日の夕方のことだった。
仕事帰りにいつものようにミケオの公園の前を通りかかると聞き慣れないネコの鳴き声が。
ミヤォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ーーーーー、ミヤォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ーーーーー。その声はお世辞にも可愛いとは言えず、疲れ果てたそろばん塾の先生のような、働きすぎた八百屋のおじさんのような、ボヘミアンを歌いすぎた葛城ユキのような、ドラえもんが風邪をひいたかのような、ザラザラとした低音のハスキーボイスだった。
公園の入り口をキョロキョロと覗いてみると、一匹のキジトラがひょっこりと現れた。
コロンによく似たその猫は、
コロンよりちょっと太っていてお顔も身体もまん丸だった。
※比較参考資料
ある夏の日のコロン
コロンによく似たその猫は、
コロンより凛々しい顔をしていた。つうか怖い顔だった。
コロンによく似たその猫は、
コロンよりじゃれ付くのが好きだった。この直後傘に襲い掛かって来た。
コロンによく似たその猫は、
コロンよりフカフカの毛並みでシッポにオナモミをたくさんつけていた。
シッポを引っ張るとボコボコしていた。
コロンによく似たその猫は、
コロンよりスリスリするのが好きだった。怖い顔でワタシの周りを何度も周った。
コロンによく似たその猫は、
コロンより凄い力でスリスリし、それはまるで頭突きのようだった。
スリスリと言うよりガツンガツンだった。
コロンによく似たその猫は、
ワタシと遊んでいる間、ずーっと鳴いていた。
ミヤォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ーーーーー、ミヤォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ーーーーー。どこのネコだろう?
首輪はしてなかったけど、この毛並みと人懐こさは飼い猫かな?
遠巻きに見ていたミケオ達とも一切接触がなかったし。
それにしても凄いダミ声だ。
名前はどうしよう。
やっぱおっさん?
後日談:猫は般若と名付けられました。