それは1ヶ月前のことだった。
夜の11時頃、最寄りの駅にイチゴトラックが居た。
のぼりを見ると、「朝摘みイチゴ、2パックで500円」と書いてある。
「美人にはオマケします!」とも書いてある。
ワタシは吸い込まれるかのように、トラックの前へと歩いて行った。
どうやらイチゴは「とよのか」らしい。
荷台の中には赤々としたイチゴが山のように積んであった。
いい香りだ。
しかしながら、ワタシの脳裏に過去の思い出が蘇った。
それは、
メロントラック。
2個で500円に騙されて、たいして大きくもないメロンを1個1000円で買ってしまった暗い過去だ。
ワタシはトラックの持ち主の顔をマジマジと見つめた。
間違いない!
あの時のメロントラックのおじさんだ!
くっそぉー。
いたいけな主婦をまた騙そうとやって来た極悪人め!
ワタシは今度は騙されまいと思いながらも、どうしてもイチゴが気になって仕方がなかった。
再び荷台の中を覗いてみた。
以前メロンの時は、大きなメロンちゃんと小さなメロンちゃんが混在していた。
が、今回はちょっと違う。
美しく大きさも均等なS玉卵大のイチゴちゃんが綺麗に整列しているのだ。
これはチャンスかもしれない。
買うにしろ、買わないにしろ、とりあえず、おじさんに話しだけでも聞いてみようと思い、
「あのぉーすみません・・・」と言おうとした矢先、
ワタシの首筋に激痛が走ったのだ!
痛いっ!!
何っ!?
後ろを振り返って見ると、
そこには鬼のように恐い顔をした隊長がワタシの首根っこを掴んで立っていた。
「おまえには学習能力ってもんがないのかぁあーー!!」
そう言うと、
隊長はワタシの首根っこを掴んだまま、ワタシを引きずるように、
家路へと向ったのであった。
「だって美人はオマケしますって書いてあるよぉー。」
何度も繰り返すワタシをまるで無視しながら。
なんてこったい。