武ニュースDiary
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2004年04月04日(日) |
2004年期待の顔(台湾ヴォーグから) |
シンプルで矛盾に満ちた 金城武
彼はアイドル歌手出身だ。だがヒット曲は少ない。 演技畑に進むようになってから人気が出たからだ。
彼は台湾でデビューした。しかし日本でブレイクしたことで、 台湾でも逆輸入されスターになった。
彼は俳優である。だが、映画やドラマへの登場は、 CMキャラクターでの登場よりはるかに少ない。
彼は中日混血である。 私は彼の出演する日本ドラマを、ずっと楽しみに観てきて、 彼は日本語を話すときの声の表情の方が、中国語や広東語のときよりも ずっと豊かであることに気がついた。 日本語が彼の母語なのかも知れない。 知らない人が多いが、実は彼の姓は金城で、名前は一字の武である。
彼が芸能界で10年余りを過ごすのを見てきたが、 私の彼に対する印象はずっと最初のままである。 漫画からそのまま抜け出したような顔、濃い眉と薄いくちびる、 笑うと幼く誠実さがあふれる。 金城武は、いわゆる天の神様の恵をもらったスターだ。 表現欲を抱いて、あるいは名声と利益を求め、 いったん芸能界に入ったほとんどの人間が、 どんなに全力を尽くし、高みを目指して様々な奇妙なことをし、 不自然なことまでやらかして、自分をとりつくろい、よく見せようとしようが、 金城武はそうではない。 彼は、自分がどんなに努力しているかを吹聴したことは1度もなく、 ただ、運が良かったのだと笑って言うだけだ。 こんな人間が大スターになれるなんて、 どれだけの汲々としている者たちを憤死させるかわからないというものである。
有名になってから、成熟を深めてきた今日まで、 彼はずっと赤子の心を失わない、シンプルな人間でい続けている。 芸能界の商売の複雑さが、このシンプルな人間を 矛盾に満ちたものにしてしまうのだ。
彼に人生計画をたずねると、動物園の管理員になりたいと言ったり、 もしかしたら出家するかもしれないと言い出したりする。 数年後、もう1度同じことを彼に尋ねてみるといい。 やはり同じような答えを返してくる。 そのような、人を戸惑わせるような答えは、 「とにかく人を驚かせてやりたい」という、その場限りのでたらめではなく、 どうやら本当にそう信じ、そう考えているようなのだ。
彼は、若い時代、朱延平の映画に出たことを、 とても楽しい経験だったと言って譲らない。 「楽しいかどうかが一番重要だ」 心から、素直に笑いながら言うので、聞く者は、それらの映画を見たとき、 なんで自分は彼のように楽しくなれなかったのだろうと考え込んでしまうのだ。
金城武を一躍国際的大スターにした「神様、もう少しだけ」は、 文字通りのアイドルドラマ(偶像劇)である。 彼の役は現状に不満を抱く作曲家で、 援助交際でエイズに感染した少女を死ぬまで愛し続ける。 このドラマを見た少女たちは、口をそろえて 「もしこんなふうに愛されるなら、死んでもいい」と言ったものだ。
役柄が彼に深みを与え、演技面での実力を発揮させることになったのは 「不夜城」だ。 2つのグループの間でアイデンティティを引き裂かれ、 自己破壊的な愛着で、不幸にも自分を裏切ることになる女を かたくなに愛する役である。 彼は成熟した性的魅力を見せ始め、 もはや、かつての乳臭い二枚目ではなかった。
「スペーストラベラーズ」と「リターナー」は商業映画の体裁で、 彼は奇抜でファンタスティックな冒険の世界を駆けめぐる。 お人よしで単純な役の持つ性格から、演技面では一歩退くことになった作品だった。 だが、幸いなことに彼は「ゴールデンボウル」に出演している。 彼のボウリングの腕は見る者を感服させたし、 ヒロインの黒木瞳との微妙な男女のやりとりは火花が散った。 もしかしたら、彼は自分より成熟した女性との共演が合っているのかもしれない。 その演技の才能は、より上の者とぶつかることで、 より発揮されるものなのかもしれないと思う。 「向左走、向右走」では、またアイドル映画のような役に戻ってしまった。 このように、演技面で絶えず浮き沈みすることから、 彼の、物事を計算してやるのでない、気任せな特質が見てとれる。
今も残念に思うのは、「グリーン・デスティニー」の羅小虎役が 金城武によって演じられなかったことだ。 その武術の腕をふるう様は、彼の顔を借りたアクションゲームで見られるだけである。 だが、最も物語を語るのに優れ、映像表現の見事な監督、 チャン・イーモウが武侠映画の新作「十面埋伏」で金城武を起用したこと、 これは期待できる。 彼はこれまで、うっかりと多くのチャンスを逃してしまってきたかもしれないが、 時期時期で、必ず人の注目が、おのずと彼の上に集まってくるのである。 持てる素質、年齢ともに、成熟段階へと入った今、 「十面埋伏」は、彼が国際的な大監督のもとで、 他のスター達と競い合うことのできる絶好の機会である。 (王志成・文/VOGUE台湾 2004年3月号)
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BBS 10:40
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