武ニュースDiary


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2003年03月03日(月) アーロンに代わるスターとして(1993)(再録)

今回も1度アップ済みのものです。
1993年の芸能誌「新星心」の記事ですが、
前年にデビュー、着実に人気を伸ばしている金城武を、
年代は、年代を離れようとしている人気者、
アーロン・クォックにかわるスターとして力を入れたのです。

アーロンは香港人ですが、台湾のバイクのCMに出たのがきっかけで、
まず台湾で人気が爆発しました。
当時は、中性的な美青年で、彼のヘアスタイルは
他のアイドルスター達のお手本になっているように思われます。

スターになるかならないか、
こういう事務所の方針、芸能界の事情も大きく関係していることを
思わせる記事です。
少し長いですが、当時の武を取り巻く状況の一端がわかるでしょう。

(ちなみに、このころの記事には、何を指すかわからない
映画の作品名が良く出てきます)

**************

アーロン・クォックの身辺が最近騒がしい。
レコード会社の争奪戦の的になっていることのほかにも、
以前の契約が少なからぬ問題を生んでいるのだ。

「美しい夢」という歌がアーロンと年代との衝突の発端となった。
原因はアーロンのマネジャー小美がこの曲のテープを
香港の商業ラジオ第二放送に渡して曲が流されたことだ。
年代レコード会社の社長・陳志光は社長室でこの放送を聞くや、
商業ラジオの局長にただちに放送中止するよう要求した。

陳志光が言うには「あの歌を聞いたとき、誰かが年代の著作権を盗んで
録音したのではないかと、まず思いましたね。徹底的に調査をします。
我々は、福隆制作会社からマスターを受け取るのを待ちつつ、
香港でのリリース方針について、検討しているところでした。
まだ発売時期も決まっていないのに、こんなに早く歌が流されてしまっては、
宣伝計画はめちゃくちゃだし、海賊版にもいい機会を与えかねない」
コトの真相がどうであろうと、年代とアーロンの契約は9月30日で満了になる。
広東語アルバムの録音がまだ残っているが、
アーロンは10月中にはすべての動向をハッキリさせると言明した。

アーロン・クォックと年代との関係が膠着(こうちゃく)状態に陥ったのは、すでに明らかで、
年代の方では、目下金城武を全力で売り出す構えだ。
アーロンにかわるスターとするということだろう。
映画「衛斯理伝奇」への出演のほか、アクション女優・揚麗青との夕食の席を設けたが、
その間武はずっとこの先輩にアクション映画の心得を教えてもらっていた。
この夕食のせいで、金城武は警察に出頭するはめにもなったのであるが、
いったい何が起こったのか?

夕食が終わった後、揚麗青が車を運転して金城武を送ることにした。
ところが途中で急に具合が悪くなり、吐き気が止まらなくなった。
金城武によると、
「緊急を要する事態だったので、早く病院へ送り届けることしか考えていませんでした。
免許証のことなんて、全然思い浮かばなかったんです」

金城武がもっていたのは台湾での運転免許証で、香港での免許ではなかったのだ。
そこで警察の検問にあって、交番まで連行されただけでなく、
2250香港ドルの罰金を払わされることになった。
武はしょうがないという顔で、
「助けなきゃとばかり思っていて、それが面倒を引き起こすなんて
思ってもみませんでした。でも交番ではみんなやさしくて、
サインをほしいという人までいて。そんなふうに温かく迎えられたんで、
すぐに気が楽になりました。
今度のことで一番心配なのは、マスコミです。
揚麗青とのうわさなんか流さないでくださいね。
そんなことになったら、泣きっ面に蜂ですから」

金城武は、香港台湾で、すでにかなりの人気を得ているが、孝行を忘れない。
「赤柱で、竹製のマージャンセットをおかあさんに買いました。
おかあさんはマージャンが好きなので、メンツが1人足りないときはぼくが入るし、
だれもいなければ、ぼくがマージャン友達に声をかけて回ってそろえるんです。
もし仕事がこんなに忙しくなかったら、
両親にとっていい子でいられるかもしれないけれど、
しょっちゅう台湾を離れてあちこちでプロモーション活動をしていると、
家族と会える時間はほとんどありません。
でも、男だったらやっぱり仕事を主にすべきだと思っています」

金城武はこのようにきちんと先を見通しているが、
しかし自分を野心旺盛な人間だとは思っていない。
「自然がいいと思うんです。一足飛びに成功しようなんて望みませんし、
少しずつ着実に進んでいって成功するなら、それがいいですね」

金城武はまた、自分の忘れっぽさを治さなくてはと考えている。
彼の健忘症が引き起こした笑い話はいくつもあるが、一番忘れられないのは、
「香港で番組録画をしているとき、急にハッとして、ある心配が頭に浮かんできたんです。
パスポートを放りっぱなしにしてきたんじゃないかって。
いつも、こっちに来るときはパスポートは社長に預けることになっていたんですが、
そのときの担当の人は事情を知らなかったんですよ。
だから、仕事が終わるとホテルに飛んで帰って探しました。
そうしたら、ホントに見つからない! ワア、ヤバイって!」

優しくて、親孝行で、ドジな金城武は、
ダークホースとして、今まさに香港台湾に殴りこみをかけようとしている。
すでにファンである人たちは、引き続き支持してほしいし、
まだファンでないあなた方も、ファンの輪に加わってほしいものだ。

(「新星心」1993.10)


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