武ニュースDiary
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2003年01月28日(火) |
「ラベンダー」の謎・・・アテナと天使の旅 |
「ラベンダー」は、いくつもの謎をはらんだ映画ですが、 アテナと天使は一体、どのような経路で旅をしたのか、ご存じですか? 以下、お暇な方はどうぞ。
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映画では、朝、アパートを後にした2人は空路ヨーロッパへ。 アテナの意向でフランスのプロヴァンスに直行したかのように見えます。 その後、汽車に乗り、バチカンに向かいます。 この途中で天使は列車から空へ旅立つのです。
しかし、香港からプロヴァンスの田舎に直行というのは少し無理があります。 どこかで乗り換えているはずです。 香港上映時のスポンサーの1つ、ハイネケンが景品として製作した ダイアリーには、映画のストーリーがこう書かれてありました。 ――アテナと天使は飛行機に乗り、バチカンに向かったが、 途中天使が飛行機に酔って吐いてしまったため、 ミラノで降りて、汽車に乗り換え、バチカンをめざした。 その途中、天使は愛に飢えて死にかける…… しかし、このストーリーだと、フランスでラベンダーを入手する シーンがありません。
地図でこれらの都市の位置を確かめてみると、 ミラノは北イタリア。バチカンはローマですから南イタリア。 ローマに直行せず、まずミラノに飛んだということは、 香港からの直行便はミラノ行きしかないということでしょうか。 そうではなく、初めからプロヴァンスに立ち寄って ラベンダーを入手するつもりであったのなら、この経路は合理的です。 プロヴァンスは南フランスの、イタリアとの国境に近い地方で、 ミラノからは200〜300キロ西へ寄り道したことになります。 (「こんな遠くまで来たのはぼくにこの花束を持って行かせるため?」と 天使はアテナに聞いていますね) 無事ラベンダーを手に入れて、そこからバチカンへと 500キロほど、イタリアへ戻る旅となります。 ラストでレストランのオーナーが、靴をイタリア旅行のとき 拾ったと言っていることから考えると、 天使が飛び立ったのはイタリア領に入ってからでしょう。
香港に遅れること5か月、台湾公開に先立って開かれたYahoo台湾の 映画紹介ページでもまた、2人は飛行機でまずミラノに飛び、 乗り換えてバチカンへと再び飛ぶ予定だったが、 天使が機上で具合悪くなり、ミラノから陸路バチカンに行くことに変更したとあります。 その汽車の中で、弱った天使は、自分がバチカンまで行き着けないことを悟り、 死ぬ前にアテナを天国の恋人と引き合わせようとするのです。 この資料はゴールデン・ハーベスト提供となっています。
最初のストーリーでは、ラベンダー畑への立ち寄りはなかったのでしょうか。 それが入ったために、天使はかなりの距離を 衰弱した体で旅する羽目になったのかもしれません。
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旅にまつわるもう1つの謎は、なぜバチカンに行かなければならなかったかです。 バチカンの聖門が開かれるとき天国に戻れるのですが、 その聖門をくぐらねばならないのでしょうか? しかし、結果として天使は夜明けまでにバチカンにはたどりつけず、 汽車の窓から天国に帰っています。
日本で出版された「ラベンダー」のノベライズは、香港版の翻訳ではなく、 おそらく完成品の映画を元に小説としてふくらませたものではないかと思われます。 この本では、2人の旅の軌跡については映画の印象と同じように、 香港からフランスの田舎町へ空路、直行したかのように書かれています。 しかしバチカン行きの謎に対しては、やはり解釈が必要と判断したのか、 聖門の意味と、天使の心理に独自の解釈をほどこしていますので、 興味のある方は面白いと思います。 この解釈が、原作者=イップ監督への問い合わせの上に行われたのかどうかは、 大変興味深いところです。
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