2010年06月17日(木) |
国会閉幕7・11参院選へ |
1、内閣不信任案:自民が提出 午後否決し国会閉会−−参院選は来月11日 2010年6月16日 毎日新聞 2、社説:国会閉幕―「地域主権」はどうした 2010年6月17日(木)朝日新聞 3、社説:7・11参院選へ 「出直し菅内閣」を問う 2010年6月17日 毎日新聞
私たち有権者にとって再び大切な選択の時がやってきた。第174通常国会は16日午後、150日間の会期を終え閉幕し「24日公示−7月11日投開票」の参院選に向け、事実上の選挙戦に突入した。
戦後初の本格的な政権交代から約9カ月。鳩山由紀夫前首相があえなく退陣し、菅直人首相で出直しを図る民主党政権に有権者は期待をつなげるのか、つまり、政権交代したのがよかったかどうかの判断を有権者が下すことになる。 詳しくは上記社説をご覧ください。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 内閣不信任案:自民が提出 午後否決し国会閉会−−参院選は来月11日 毎日新聞 2010年6月16日 毎日新聞 第174通常国会は16日午後、150日間の会期を終え閉幕する。自民党は同日午前、菅政権が発足したにもかかわらず、政府・与党が衆参両院での予算委員会審議に応じないことに反発し、菅内閣に対する不信任決議案を提出した。同決議案は午後の衆院本会議で与党の反対多数で否決される見通し。与野党は「24日公示−7月11日投開票」の参院選に向け、事実上の選挙戦に突入する。 野党各党は同日午前、横路孝弘衆院議長に国会の会期延長と、菅直人首相出席の予算委員会開催などを申し入れた。その後、自民党は衆院で内閣不信任案を提出。不信任案で「国民への説明責任を果たしていない」などと政府・与党を批判した。参院では、自民、公明両党などが菅首相と事務所費問題を抱える荒井聡国家戦略担当相に対する問責決議案を提出した。 与党は午後の衆院本会議で不信任案を否決、その後、継続審議とする法案について閉会中審査手続きなどを行う。また、衆院総務委員会は同日午前、元シベリア抑留者に1人最高150万円の一時金を支給する特別措置法案を全会一致で可決した。午後の衆院本会議で可決、成立する。 今国会は1月18日に開会。10年度予算案は戦後5番目の早さとなる3月24日に成立したほか、子ども手当法や高校授業料無償化法などが成立した。しかし、その後は審議のペースが落ち、鳩山由紀夫前首相退陣による国会空転や、会期延長を見送ったことなどが影響し、政府提出法案の成立率は戦後最低の水準にとどまる見通し。 国民新党が成立を目指した郵政改革法案などは廃案となる。【大場伸也、岡崎大輔】 【関連記事】 国会:自民が内閣不信任案を提出 午後、否決し閉会 記者の目:菅新政権の「普天間」政策=上野央絵(政治部) 自民:16日に内閣不信任決議案提出方針固める 参院選:閣僚もあやかりたい? はやぶさ、日本代表快勝 菅内閣:金融・郵政担当相に自見氏 発足3日で閣僚交代 毎日新聞 2010年6月16日 東京夕刊 2010年6月17日(木)付 ――――――――――――――――――――――――――――――――――」 2、社説:7・11参院選へ 「出直し菅内閣」を問う 2010年6月17日 毎日新聞 私たち有権者にとって再び大切な選択の時がやってくる。野党各党が論戦不足を激しく批判する中、国会は16日閉会し、今月24日公示、7月11日投開票となる参院選に向け、選挙戦が事実上始まることになった。 戦後初の本格的な政権交代から約9カ月。鳩山由紀夫前首相があえなく退陣し、菅直人首相で出直しを図る民主党政権に有権者は期待をつなげるのかどうか。つまり、政権交代したのがよかったかどうかの判断を有権者が下す参院選となる。 ◇「国会打ち切り」は横暴 参院選は衆院選と異なり、政権選択に直結する選挙ではない。ただし、今回は単に現政権の中間評価にとどまらない。与党の民主党と国民新党が参院で過半数を維持すれば政権は安定するだろう。逆に過半数に達しなければ国会は衆参がねじれ、法案が容易に通らない状態になる。あるいは、選挙結果によっては連立の組み替えとなるかもしれない。いずれにしても、日本政治の行方を大きく左右するということだ。 それだけ重要な参院選であるにもかかわらず、国会を強引に閉会した民主党の姿勢は批判されて当然だ。 菅内閣は人事などで小沢一郎前幹事長の影響力を排除する「脱小沢」を貫いたことなどが評価され、支持率は急回復している。この勢いで一刻も早く選挙に突入したいと考えたのは明らかだ。一時、野党に提案していた党首討論や衆参予算委員会を取りやめ、16日は野党が参院に提出した菅首相に対する問責決議案の採決さえ拒否して国会を閉会した。まったく理解できない対応である。 前内閣は普天間問題と、鳩山前首相と小沢氏の政治とカネの問題に追われ、この国会は予算成立以外にはほとんど成果はなかった。菅内閣もまだ何もしていないに等しいのである。ところが、発足早々、荒井聡国家戦略担当相の事務所費問題も浮上し、これ以上国会が長引き、さらにほころびが出るのを恐れたと見られても仕方があるまい。 審議不足が明白な郵政改革法案を参院選後に先送りするのは当然としても、地域主権改革関連法案や労働者派遣法改正案など早急に成立させるべき多くの法案が棚上げとなった。インターネットを利用した選挙運動を解禁する公職選挙法改正も、やっと与野党で合意したというのに時間切れで実現しなかった。 小沢氏の政治資金問題に関する政治倫理審査会などの開催も、なし崩し的に見送られた。これらの責任は民主党にあると指摘しておく。 参院選公示を前に注目したいのは民主党のマニフェストだ。 長妻昭厚生労働相が来年度から中学生以下の子ども1人につき月2万6000円を支給するとした昨年の衆院選マニフェストの実現を、財源不足を理由に事実上断念する考えを示したように、菅内閣は財政再建優先にカジを切っている。17日に発表予定の参院選マニフェストは、こうした政策転換が反映されそうだ。 「脱バラマキ」も「脱小沢」の一環だろう。しかし、昨年の衆院選では鳩山、小沢両氏だけでなく、党を挙げて「政権交代すれば、いくらでも財源は出てくる」などと財源をあいまいにしてきた点を忘れてはならない。公約を変更するには、なぜ、そうなったのか、きちんと反省し、国民に説明するのが先だ。そうでなければ本当の出直しとはならない。 ◇公約見直しが焦点 大きな争点となるであろう税制改革で、自民党は消費税率引き上げを具体的に公約に明記する方針だ。民主党も財政再建や社会保障制度改革のために引き上げが必要と考えるのなら、「今後、与野党で協議する」と逃げずに、まず政権与党としてどう考えるのか、具体的な数字を盛り込むべきだ。 鳩山前首相退陣のきっかけとなった普天間問題も解決のめどは立っていない。菅首相は移設先を辺野古付近とした日米合意を踏まえ、沖縄の負担軽減に努めると言うが、沖縄県民の理解をどう得るのかも、参院選の大きなテーマとなる。 普天間も、いくつかの国内政策もなぜ、約束通りに実現できなかったのか。それが前政権の失敗から最も学ぶべき教訓だ。政策実現のための道筋を具体的に書き込み、必要とあれば有権者の負担増も訴える−−。そんなマニフェスト選挙の原点に民主党は立ち返ってもらいたい。 対する自民党は政権に返り咲く足がかりができるかどうかの正念場だ。離党者も相次ぎ、求心力は失われる一方だ。今回敗北すれば民主党以上に深刻な局面を迎えよう。 公明党や共産党、連立を離脱した社民党、昨年結党したみんなの党、そして初の国政選挙となる新党改革、たちあがれ日本などにとっても重要な選挙だ。2大政党化の流れがそのまま強まるのか。民主、自民両党に不満な人たちの受け皿となって「第三極」が伸びるのか。今後の政治の潮流を決める岐路ともなる。 国会での論戦が足りなかった分、選挙戦では活発な政策論争を強く望みたい。口蹄疫(こうていえき)の拡大で宮崎県などでは「今のままで選挙ができるのか」との声も出ている。内閣が万全の措置を講じるべきであるのは言うまでもない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――― 社説:国会閉幕―「地域主権」はどうした 2010年6月17日(木)朝日新聞 通常国会が終わった。会期末まで、民主党の強引な運営ぶりが際だった。きのうは自民党などが提出した首相問責決議案の採決もしなかった。 与野党それぞれに理屈はあろうが、政権交代時代の新しい国会の姿を見せるには至らず、大きな宿題を残したことを銘記すべきである。 参院選に走り出す前に、成立しなかった法案に目を向けておこう。 温室効果ガス排出量の「25%削減」を明記した地球温暖化対策基本法案は廃案になった。製造業派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案は継続審議だ。「ネット選挙解禁」の公職選挙法改正案は提出すらされなかった。 政府提出の法案の成立率が過去最低に落ち込むなか、どうしたことかと目を疑うひとつが、地域主権改革関連3法案だ。参院で先に可決されたが、衆院で継続審議になった。 地域主権改革は政権交代の目玉政策だったはずだ。霞が関の各省と二人三脚で進んだ自民党政権の「地方分権」を、脱官僚依存の鳩山前政権は「地域主権」と呼び改め、旗を振った。 住民に近い自治体に権限も財源も移すため、各省の抵抗を打ち破る。こう宣言して、大阪府の橋下徹知事らを入れた地域主権戦略会議を司令塔に、改革の献立を練ってきた。 関連3法案は、そのほんの頭出しに過ぎない。自治体の仕事のやり方を法律で縛る「義務づけ」の廃止などは、ごく一部でしかない。それでも、自治にかかわる政策を企画段階から政府と地方代表が話し合う「国と地方の協議の場」法案などは評価できた。自治体側の長年の要望でもあり、地域主権改革の初めの一歩といえた。 自民党も公明党も「協議の場」には基本的に前向きだ。それを通さなかったのは、政府の自治体に対する背信行為だ。速やかな成立を求める。 同時に気になるのは、6月中に予定されていた政府の地域主権戦略大綱も先送りされそうなことだ。大綱は地域主権改革の全体像を描き、2、3年後を見すえた方針を示すものだ。 そこには、国と地方のあり方を根幹から見直す取り組みも多い。ひも付き補助金を廃止して省庁横断型の一括交付金にすることも一例だ。 さらに大綱では「国の出先機関の原則廃止」を確認し、工程を年内に策定する方針も書くはずだった。こうした各省との摩擦が大きい大綱の閣議決定が遅れれば、それだけ各省が巻き返す余地も生まれるのが気がかりだ。 首相交代に伴い「菅カラーを出したい」との考えもあるのかもしれない。だが、大綱づくりをしてきた地域主権戦略会議には、菅直人首相も仙谷由人官房長官も入っていた。理由を示さないままの大綱の先送りは解せない。今月内の閣議決定をめざすべきだ。
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