『日々の映像』

2010年05月07日(金) 核拡散防止条約(NPT)の前途は多難

1、米、核保有数を初公表 20年で75%減の5113発
2010年5月4日 朝日新聞
2、米備蓄核兵器は5113発 冷戦時代から84%減少
2010.5.4   産経新聞
3、社説:NPT会議 核不拡散の強化を打ち出せ
                    2010年5月4日  読売新聞

 米国は東西冷戦期の1967年には3万1255発も核弾頭を持っていたという。米国防総省は3日、「米国が保有する核弾頭数は実戦配備と予備を合わせて計5113発で、東西冷戦期と比べると84%減少したと発表した。

 オバマ大統領が「核のない世界」を訴える米政府は、すべての核保有数を明らかにすることで、ロシアと合わせて全世界の核兵器の9割を保有する国としての説明責任を果たし、さらなる核削減に取り組む姿勢を明確に示したことは大きく評価されると思う。

 それにしても米国は何が怖くて3万1255発も核弾頭を持ったのかと言いたい。これほどの税金の無駄遣いはないだろう。現在の新たな恐怖は核の拡散である。ニューヨークで開かれる核拡散防止条約(NPT)の運用状況を検討する会議が行われた。しかし、北朝鮮などはNPTからの脱退を宣言しているもあるのだから、核拡散防止条約(NPT)の前途は多難と言わざるを得ない。

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1、米、核保有数を初公表 20年で75%減の5113発
                     2010年5月4日8時19分  朝日新聞
 【ニューヨーク=望月洋嗣】クリントン米国務長官は3日に開幕した核不拡散条約(NPT)再検討会議で演説し、今後、米国が保有するすべての核弾頭数を公表する方針を発表した。米国防総省は同日、攻撃用に配備していない核弾頭を含む保有数は5113発で、過去20年間で75%削減したことを明らかにした。
 オバマ大統領が「核のない世界」を訴える米政府は、すべての核保有数を明らかにすることで、ロシアと合わせて全世界の核兵器の9割を保有する国としての説明責任を果たし、さらなる核削減に取り組む姿勢を明確に示した格好だ。核兵器を増強しているとされる中国に、核兵器数の公表を促す狙いもあるとみられる。
 米国は4月上旬にロシアと署名した新たな核軍縮条約で、配備する核兵器数を1550以下にすることで合意している。廃棄作業に向けて保管中の核兵器は公表の対象外で、民間団体の調べでは4000発あまりとされる。
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2、米備蓄核兵器は5113発 冷戦時代から84%減少
                   2010.5.4 09:23   産経新聞
このニュースのトピックス:核・ミサイル事情
 【ワシントン=佐々木類】米国防総省は3日、米国が保有する核弾頭数は実戦配備と予備を合わせて計5113発で、東西冷戦期の1967年の3万1255発と比べると84%減少したと発表した。
 米国が現有核戦力の実態を公表したのは極めて異例。核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開幕にあわせ、核大国の米国が核軍縮に取り組んできたとの実績を示すことで、NPT体制を強化する狙いがある。
 国防総省によると、2009年9月30日現在で配備中や予備の核弾頭は5113発。退役後の解体待ちの核兵器は実数を示さず、09年9月末現在で数千発とした。エネルギー省が94年から09年までに解体した核弾頭の総数は8748発と明らかにした。
 同省高官は今回の公表について、「米国は機密解除という模範を示した」と述べ、「とくに中国が核の透明化を図ることを期待する」と中国に情報公開を要請した。
 シンクタンクの全米科学者連盟(FAS)の推計によると、5月現在、米国が保有する核弾頭総数(退役後保管中のものを含む)は9000発以上で、ロシアの1万2000発に次いで世界で2番目に多い。
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3、社説:NPT会議 核不拡散の強化を打ち出せ
                   2010年5月4日01時18分 読売新聞
 世界の安全保障を脅かす核拡散をいかにして阻止していくのか。
 3日から28日までニューヨークで開かれる核拡散防止条約(NPT)の運用状況を検討する会議は、その具体策を講じる重要な機会だ。
 NPTは、核兵器の拡散防止を図る国際的な取り決めである。
 核兵器保有国を、1967年以前に核実験をした米露英仏中の5か国に限定し、全加盟国に不拡散を義務づけることで新たな核兵器国の出現を抑止するのが目的だ。日本など約190か国が加盟し、発効から40年を迎えた。
 だが、このNPT体制は大きく揺らいでいる。
 北朝鮮はNPTからの脱退を宣言し、核実験を2度も強行した。「原子力の平和利用」を隠れみのにした核兵器開発、という危険な先例を作った。
 イランも国際原子力機関(IAEA)の査察をかいくぐり、ウラン濃縮を行う違反を犯した。国連安全保障理事会の再三の決議を無視して濃縮活動を続け、北朝鮮と同じ道をたどろうとしている。
 世界の闇市場で核関連物質が取引され、核爆弾の製造技術が広まった。ならず者国家やテロ組織の核武装の危険は高まっている。
 世界の安全にとって、グローバルな不拡散体制の要であるNPTの立て直しが不可欠だ。今回の会議で各国は、実質的なNPT強化策で合意を目指すべきである。
 それには、核兵器国と非核国が協力する必要がある。核兵器国は核軍縮の義務履行を加速化すべきだ。非核国はIAEAの査察を通じて核開発していないことを立証しなければならない。
 双方が真摯(しんし)に取り組んでこそ不拡散の国際連携は強化できるが、現状は楽観できない。
 最大の攪乱(かくらん)要因はイランだ。大統領自らが会議に出席し、全会一致が原則の「最終合意文書」の採択を阻む構えだ。
 日本や欧米諸国は、NPT脱退通告の乱用防止策や、IAEAの査察権限を強化する追加議定書の普遍化を求める方針だ。だが、それを先進国による介入とみて警戒する途上国は少なくない。
 中東諸国には、欧米諸国はイラン問題を重視しても、NPT未加盟のイスラエルの核問題に向き合わない、との強い不満がある。
 各国の相互不信が募れば不拡散のタガは緩む。決裂に終わった前回会議の再現となっては、北朝鮮やイランのような違反国家の跋扈(ばっこ)を招くだけだ。不拡散強化へ大きな流れを作り出す必要がある。

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石田ふたみ