2010年05月05日(水) |
終わりを知らないデフレの脅威 |
記者の目:グローバル化の中のデフレ 田畑悦郎 毎日新聞 2010年4月30日 企業物価:過去最大5.2%下落 09年度 毎日新聞 2010年4月13日 59、米国:GDP3.2%増 景気回復ぶり裏付け 1〜3月期 http://ameblo.jp/syogai1/entry-10522462033.html 60、米国:景気、着実に回復 自動車・家電、個人消費が支え http://ameblo.jp/syogai1/entry-10523823714.html
米国はリーマンショックから立ち直り、アメブロに収録した上記にニュースの通り景気が回復してきている。しかし、日本は「終わりを知らないデフレの脅威」にさらされている。モノが売れず、価格が下がり、経済が停滞するデフレの長期化が続いている。
グローバル化の中のデフレの一部を引用したい 「海外からの格安品の流入は以前からあったが、今回のデフレ局面でこの動きは一段と強まっている。景気は緩やかに回復しつつあるが、価格下落の流れを押しとどめるのは難しい。少子化を含め国内需要の拡大も期待しにくい今の日本が、デフレから抜け出すのは容易ではないと実感した。」
カジュアル衣料の「価格破壊」は半端じゃない。口火を切ったファーストリテイリングの990円ジーンズはカンボジア製、西友の850円ジーンズはバングラデシュ製だ。従来は安い品で2000〜3000円だったから、その価格破壊力はすさまじい。海外の格安衣料と言えば、中国製が思い浮かぶが、店頭にはカンボジアやバングラデシュで作られた格安商品が数多く並んでいる。 2000〜3000円ジーンズが〜900円であれば、価額破壊を超えて独り勝ちを狙う覇権思想が背景にあるといわざるを得ない。企業の理念が終わりを知らないデフレ現象を起こしているように思う。
ゴールデンウイークの期間、マクドナルド1000円パックがある。ハンバーグ3ケ・ポテト3ケ・ドリンク付きである。通常価額より約500円は安く乗用車お客が途切れることがない。カジュアル衣料のファーストリテイリング と同じくマクドナルドは外食産業で独り勝ちの様相である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――― 記者の目:グローバル化の中のデフレ 田畑悦郎 毎日新聞 2010年4月30日 モノが売れず、価格が下がり、経済が停滞するデフレが長期化している。それを生むさまざまな要因について、連載企画「デフレの深層」(13〜17日)で報告した。今回、特に注目したのは「グローバル化の深化」の影響だ。海外からの格安品の流入は以前からあったが、今回のデフレ局面でこの動きは一段と強まっている。景気は緩やかに回復しつつあるが、価格下落の流れを押しとどめるのは難しい。少子化を含め国内需要の拡大も期待しにくい今の日本が、デフレから抜け出すのは容易ではないと実感した。 ◇人海戦術で格安衣料品生産 08年秋に日本に進出し、カジュアル衣料の「価格破壊」を起こしたスウェーデンのブランド、H&M。その安さを支えるのは賃金の安い新興国だ。海外の格安衣料と言えば、中国製が思い浮かぶが、店頭にはカンボジアやバングラデシュで作られた格安商品が数多く並ぶ。 日本でも昨年、ジーンズの値下げバトルが起こったが、口火を切ったファーストリテイリング傘下のジーユーの990円ジーンズはカンボジア製、西友の850円ジーンズはバングラデシュ製だ。従来は安い品で2000〜3000円だったから、その価格破壊力は半端ではない。 安さを生み出す現場を見ようと格安衣料生産の最前線、バングラデシュの首都ダッカの縫製工場を訪ねた。そこで目にしたのは、中国の4分の1という低賃金を「武器」にした圧倒的な人海作戦だ。大半の労働者は貧しい農村の出身で、基本給は月4000〜5000円。自動化されていないニット工場では、約250人の男性労働者たちがずらりと並び、編み機のハンドルを握り、腕を左右に振る単純作業を繰り返していた。 製造ラインの大半を占領していたのはH&MのほかZARA、J・C・ペニーなどの欧米勢。日本企業向けの委託生産が増えたのは、消費者の低価格志向が強まったここ1〜2年に過ぎない。だが、日本勢がこれまで生産拠点としていた中国は人件費が上昇し、人民元の切り上げも懸念材料として浮上しており、今後バングラデシュなど、より労働力が安い国々に生産がシフトしていくのは間違いない。格安品の日本への流入はさらに拡大し、国内価格を押し下げる圧力が一段と強まる可能性が高い。 ◇内需拡大に限界 こうしたデフレの悪循環を食い止めるのは容易ではない。日本の15〜64歳の生産年齢人口は95年をピークに既に減少に転じ、国内需要がどんどん拡大していくとは考えにくい。子ども手当のほか、減税などを含む少子化対策強化が論じられるが、効果が出るまでに時間がかかる。消費税を引き上げて年金や介護などの社会保障を充実させ、国民の将来不安を取り除いて消費を促そうとの考えも、効果を疑問視する声は根強い。 さまざまな施策を組み合わせてデフレと闘うのは当然だが、アジアを取材した実感として、成長する新興国の需要を積極的に取り込みながら、ねばり強く企業の収益力回復と雇用改善を進めることが有効な手段だと考える。 新興国といえばBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)だが、これに続き成長が期待される「ネクスト11」もある。バングラデシュはその一つで、インドネシア、トルコ、フィリピン、ベトナムなど11の国だ。そこは労働力が安いというだけではなく、市場としても有望だ。 バングラデシュの経済成長率は09年度(08年7月〜09年6月)まで7年連続で5%以上の高成長を維持。1億6222万人(09年推計)の人口は、50年には2億2250万人に急増する見通しだ。 衣料品輸出の拡大で、繊維関連の雇用は拡大しており、工場労働者の生活は着実に上向いている。目下、1人当たりの年間国民総所得はわずか520ドル(約4万8500円)と世界で下から20番目の少なさだが、今回訪問した工場の労働者たちは「テレビ、冷蔵庫を買ったので、次は貯金」と屈託なく話し、その笑顔には「生活は必ず良くなる」という希望が感じられた。 成長期待の投資も始まった。NTTドコモは08年9月、約370億円を投じて携帯電話3位のアジアータ・バングラデシュの株式の30%を取得。KDDIもインターネットの普及をにらみ、ネット接続サービスのブラックネットを今年1月に子会社化した。 これら新興国の成長を取り込む余地はまだまだ大きい。日本経済の活力を維持するためにも、「グローバル化の深化」への対応に、後れを取ってはならない。(東京経済部) 【関連記事】
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毎日新聞 2010年4月30日 0時40分
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