『日々の映像』

2010年03月06日(土) 5歳児餓死で父母を逮捕


5歳児餓死で父母を逮捕、体重1歳児以下・・2か月、十分な食事与えず           2010年3月5日読売
社説:親権制限 柔軟運用で虐待防げ
                       毎日新聞 2010年2月7日 
教育の欠陥か 正常でない人間が多すぎる(2月20日)
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20100220
児童虐待の防止等に関する法律
http://www.ron.gr.jp/law/law/gyakutai.htm

5歳の長男に約2か月にわたって十分な食事を与えず餓死させたという痛ましい事件が起こった。餓死長男の智樹ちゃんの体重は、5歳児平均の約3分の1で、1歳児を下回る6.2キロ、身長も平均よりも25センチ低い2歳児程度の85センチだったという。

発表によると、2人は今年1月頃から、智樹ちゃんに朝に1回、わずかな食事や水を与える程度で、衰弱した智樹ちゃんに治療なども受けさせずに放置するなどして、死亡させたのである。

2月20日、2歳長男を虐待死させた父親に懲役11年判決に関連して「教育の欠陥か正常でない人間が多すぎる」と題して書いた。以前、インドで狼に育てられた子供のことを書いた。この時の結びは「人は人として生まれたから人でないのである。人として育てられて初めて人になる」のであると書いた記憶がある。人としての最低限の教育を受ける機会がなかった大人が激増しているといわねばならない。

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5歳児餓死で父母を逮捕、体重1歳児以下・・2か月、十分な食事与えず          2010年3月5日読売
 5歳の長男に約2か月にわたって十分な食事を与えず餓死させたとして、奈良県警は3日、両親で、同県桜井市粟殿(おおどの)の会社員吉田博(35)と、パート店員真朱(まみ)(26)の両容疑者を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。2人は県警の調べに対し、「愛情がわかなかった」と話し、容疑を認めているという。亡くなった長男の智樹ちゃんの体重は5歳児平均の約3分の1で、1歳児を下回る6・2キロ、身長も平均よりも25センチ低い2歳児程度の85センチだった。県警は長期間、育児放棄が続いていたとみて、司法解剖をするなどして詳しく死因を調べる。
 発表によると、2人は今年1月頃から、智樹ちゃんに朝に1回、わずかな食事や水を与える程度で、衰弱した智樹ちゃんに治療なども受けさせずに放置するなどして、死亡させた疑い。智樹ちゃんはこの1週間はまったく食事をとっておらず、寝たきりで、紙おむつをしていた。筋肉はほとんどなく、「骨と皮の状態」(捜査関係者)だったという。腕や足にあざがあり、県警は暴行の有無も追及する。

 捜査関係者によると、智樹ちゃんは保育園などには通っておらず、1年近く、自宅に閉じこめられた状態だったとみられる。
 県などによると、3日午前11時頃から正午頃にかけて計3回、真朱容疑者から県中央こども家庭相談センター(奈良市)に、「子どもを虐待した」「ぐったりしている」などと電話があった。センター職員が救急車を呼ぶよう指示し、県から通報を受けた桜井市の職員が自宅に向かい、智樹ちゃんと妹(3)を保護した。智樹ちゃんは県立医大病院(同県橿原市)に搬送されたが、衰弱が激しく、同日午後5時20分、急性心不全で亡くなった。病院によると、すでに手の施しようがない状態だったという。妹は、体調に問題はない。智樹ちゃんは両親と妹の4人家族で、JR桜井駅の北約1キロの住宅街にあるアパートで暮らしていた。
 県と桜井市にはこれまで情報が入っていなかった。
(2010年3月4日 読売新聞)

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社説:親権制限 柔軟運用で虐待防げ
                     毎日新聞 2010年2月7日 
 親には未成年の子を育てるためのさまざまな権利と義務がある。監護教育権、職業許可権、財産管理権、懲戒権などが民法に定められている。これらの親権を乱用すると家庭裁判所から親権喪失の宣言がされる。悲惨な児童虐待は乱用の最たるものだが、いったん宣言されると期限がなく親権全部を失うことになるため、申し立て自体が多くはない。
 
虐待の恐れがある子を一時保護したり施設に入所させたりするケースは増えており、その際に施設長の意向を優先するか、親権のある保護者の意向が強いのかをめぐって混乱が生じることが多い。親が強引に連れ戻そうとする、親権者の承諾が得られないために治療や手術ができない、療育手帳が取得できない、学校への入退学の手続きができない……などの問題が現場から噴出しているのだ。このため、法務省は一時的に親権を停止して子を預かる施設長や他の親族の意向を優先させることを検討しており、民法改正を法制審議会に諮問した。

 児童虐待防止法は07年改正で、立ち入り調査の強化、保護された子に対する親の面会や通信の制限を設けた。都道府県知事が虐待の恐れのある親に対して子へのつきまといなどを罰則付きで禁止することも盛り込んだ。とかく聖域視される親権を制限する流れは次第に強まっている。親権制限は、増え続ける虐待に少ない人員で対応している児童相談所や施設から歓迎されるだろう。
 ただ、安易な親権停止が行われないような措置も必要ではないか。虐待への取り組みの最終目標は親子関係の修復である。これまでも現場職員は親権の重さの前に悩み苦しみながら親と対(たい)峙(じ)してきたのだ。「親によって傷ついた子は、親によってしか癒やせない」。虐待の担当職員たちがよく口にする言葉である。

 深刻な虐待から子どもを救うには、親権制限について柔軟な運用ができる制度改正も必要だろう。しかし、停止期限や親権を回復する条件を明確にすべきだ。できるだけ早く回復するため、親に対するカウンセリングや研修を充実させることも求めたい。非協力的な態度を変えない親に研修を受けさせることはたしかに難しいが、家庭裁判所の関与を強めるなどして少しでも実効性のある対策を模索してほしい。

 また、民法改正にあたっては親権の中の懲戒権の削除が争点になりそうだ。厳しいしつけが必要な場面は当然ある。しかし、未成熟な子を監護し教育する義務の中でしつけは考えられるべきである。親の権利として体罰や暴力が認められているかのような考えの延長に児童虐待はまん延しているのではないか。
毎日新聞 2010年2月7日 2時30分


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石田ふたみ