『日々の映像』

2010年02月22日(月) 高橋初のメダルに輝く

報 道 
バンクーバー五輪:フィギュア・高橋選手メダルに興奮  岡山
                       2010年2月20日 毎日
社説:高橋初メダル 自分の道、貫き通した
                      2010年2月20日  東京新聞

 バンクーバー五輪のフィギュアスケート男子で高橋大輔選手が3位に食い込んだ。この種目で日本選手初のメダル獲得であり、欧米選手が表彰台を独占してきた歴史を塗り替える快挙をたたえたい。

 高橋選手は前回8位に終わった。精神面の弱さが指摘されていた。だが、その後の4年間にこそ五輪メダルの礎が隠されている。2008年には右ひざ靱(じん)帯(たい)断裂の大けがを負った。選手生命が危(き)惧(ぐ)された。そこから厳しいリハビリを経て復帰してきたことがテレビで大きく報道されていた。

右ひざ靱(じん)帯(たい)断裂という挫折が遠藤周作の語録にある通り高橋大輔選手のエネルギーの根幹であったようだ。高橋選手の挫折からの復活劇は大きなドラマとして賞賛されることになる。「やさしい人間学の講座」で古今東西の偉人の言葉を紹介しているが、その中に一部を高橋大輔選手に贈りたい。


希望よ お前は心を鉄に鍛える
                          ベートーベン
挫折は人々のエネルギーの供給源である
                            遠藤周作
天才は1%のインスピレーションと99%の発汗である
                          トーマス・エジソン

友よ、逆境にあっては、つねに、こう叫ばねばならない。「希望、・・・希望、また希望」と。
                              ユゴー
希望は人を成功に導く信仰である 
                            ヘレンケラー
人生は向上していれば面白いものです
                        エレノア・ルーズベルト
人は、人と人のつながりの中で生きていく生き物である
                             スピノザ
たいていの人は、なろうと決意した分だけ幸せになれる。
                      エイブラハム・リンカーン
毎日、誰かの顔に喜びの微笑みが浮かぶような善行を心がけよう。
                         デール・カーネギー
全力を注がなければ、
単に約束と希望があるだけで、計画はない。
                       ピーター・ドラッカー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 以下はまだ講座で話していない語録である。

大切なことは、大志を抱き、
 それをなし遂げる技能と忍耐をもつということである。
   その他はいずれも重要ではない。
                           ゲーテ
地上のこの最高の幸福は人格である。
                              ゲーテ
われわれは消極的に
 悪い習慣を捨てようと努力するよりも、
  むしろ常に良い習慣を養うように心掛けねばならぬ。
                             ヒルティ
人間の最も偉大な力とは、
 その一番の弱点を克服したところから生まれてくるものである。

困難は、人格を建設するときの鉄骨である。
                             デカルト
生きるということは 向上することである
 向上し成長することが人生。
                             デューイ
失敗すればするほど、
 我々は成功に近づいている。
                             エジソン


――――――――――――――――――――――――――――――
バンクーバー五輪:フィギュア・高橋選手メダルに興奮  岡山
                       2010年2月20日 毎日
◇地元倉敷、笑顔いっぱい
 「私たちの誇りです」。バンクーバー冬季五輪で19日、初の男子フィギュアスケート銅メダルを獲得した高橋大輔選手(23)。地元の倉敷市では共に練習した仲間や後輩、住民らが惜しみない賛辞を送った。
 「すてきだったよ。おめでとう」。高橋選手がフィギュアを始めた倉敷フィギュアスケーティングクラブ(倉敷FSC)の佐々木美行監督(53)は、勤め先の小学校の職員室からメダル獲得を祝った。小学生のころ、勢いよく滑っては転ぶ「大ちゃん」の姿が目に焼き付いている。「本当に楽しんでいる表情だった。世界中を感動させてくれた」と喜んだ。
 高橋選手が卒業した倉敷翠松高校では、恩師や後輩たちが体育館の大スクリーンを前に歓喜に沸いた。
 2年時の担任、間野京子教諭(52)は、トリノ大会(06年)後の同窓会で、高橋選手が「次のオリンピックのお土産はメダルです」と冗談半分に語った言葉を覚えている。「目標を達成したのでゆっくり休んでほしい」とねぎらった。3年時の担任、武部勝彦教諭(52)は「物静かで穏やかな生徒だったけれど、内にすごい闘志を持っていたんですね。滑り終わった後の笑顔がよかった」と興奮した様子で話した。
 同校3年の大熊奈生子さん(18)は倉敷FSC、同高スケート部の後輩。「一緒に練習させていただいたことが幸せ。4回転は失敗したけれど、『挑戦したい』と話していたから、悔いにはならないと思います。メダルの色は関係なく1位の価値はある」と表情をほころばせた。高橋選手にあこがれて同校スケート部に入ったという2年生の河野有香さん(17)は高橋選手の演技終了後に思わずガッツポーズし、声をはずませた。「4回転の後は全てうまくまとめた。感動しました。先輩は私たちの誇りです」。【井上元宏、石井尚】
【関連記事】
五輪カーリング:日本、強敵・英国に大勝 2勝2敗に
五輪スケルトン:田山19位、45歳の越は20位…男子
五輪フィギュア:リード姉弟のびのびと…アイスダンス規定
五輪フィギュア:リード姉弟は規定18位…アイスダンス
五輪スケルトン:45歳の越、田山が4回戦進出
毎日新聞 2010年2月20日 地方版

――――――――――――――――――――――――――――
社説:高橋初メダル 自分の道、貫き通した
2010年2月20日東京新聞
 バンクーバーからの朗報が続く。今度はフィギュアスケートでメダルを獲得した冬季五輪の日本勢。緻密(ちみつ)に練り上げた技という「日本らしさ」を存分に生かした快挙をたたえたい。
 バンクーバー冬季五輪の日本勢が熱い。十八日(日本時間十九日)には高橋大輔選手が、フィギュアスケート男子で銅メダルを獲得した。日本選手が初めてオリンピックのフィギュアスケートに出場したのは七十八年前。長い挑戦の歴史の中で、男子がついに初のメダルを得たのだ。強豪ひしめく大激戦をくぐり抜けて、二十三歳のエースが新たな道を切り開いてみせたのである。
 今大会は既にスピードスケート男子・500メートルで、長島圭一郎選手が二位、加藤条治選手が三位に入っている。前回のトリノ五輪は金メダル一個の獲得にとどまったのを考えると、大会半ばで三個のメダルはなかなかの成績だ。スケート以外でもあと一歩という入賞があった。確実な前進を感じさせる健闘と言っていい。
 高橋選手のメダル獲得をあらためて振り返ってみると、まず感じるのは完成度の高さだ。いわゆる天才タイプとはやや違うように見える。最初からずばぬけた技術や華やかな表現力を持っていたわけではないが、じわじわとすべての部分で着実に力を蓄えてきた。その結果、どこにも穴のない、ほぼ完ぺきに練り上げられた演技が生まれたのである。果てしない努力や地道な試行錯誤の積み重ねをいとわない気質を持つ、日本スポーツ界ならではの緻密な取り組みが世界の天才たちをしのぐ結果をもたらしたとも言えるだろう。
 スピードスケートでも、体格やパワーの差を、理想の滑りを求める微妙きわまりない工夫で埋めていくのが日本勢の強みとなってきた。今回のメダルもその伝統に連なっている。世界の厚い壁にはねかえされることの多い日本のスポーツだが、こうして日本らしさ、自分らしさを生かした取り組みをとことん追い求めていけば、世界の表彰台にも手が届くのである。相次いでもたらされたメダルは、あとに続く若手を励まし、導く指針ともなるはずだ。
 高橋選手は安全な演技のみに甘んじることなく、ミスとはなったが4回転ジャンプの大技にも挑んだ。自分らしさの追求も、さらなる進化を目指す果敢な挑戦も。困難に立ち向かって新たな道を開くための、それはどの分野にも相通じる教訓に違いない。




 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ