『日々の映像』

2010年02月11日(木) 郵貯限度額、3000万円の真の狙いは



1、郵貯限度額、3000万円軸に 郵政見直しで政府・与党
              2010年2月8日  日経
2、社説1 民営化を止め郵貯を膨らませるのか。
              2010年2月7日  日経
3、郵貯限度額「縮小するべき」 全銀協会長
                 2010年1月26日  日経
4、社説2:日米欧の財政に株安が警鐘
                  2010年2月7日  日経
5税収超す「借金」長期化も 財務省試算
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10451556517.html
6、基礎的財政収支、赤字2.5倍の40兆円 09年度、財政再建険しく
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10452307337.html
7、国債は安全か
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10453548935.html

ややこしいテーマを記述する。郵貯限度額3000万円にするとの動きがある。 果たして真の狙いは何だと言いたい。郵貯残高はピーク時より減ったが、なお180兆円弱とメガバンクを上回る。この巨額資金の80%は国債を引き受けているのである。政府はさらに、巨額発行が続く国債の引き受けを求めていく目的があるのではないか。

日経の社説に 「プレッシャーにさらされる国家信用」とある。国際通貨基(I
MF)は1月の国際金融安定性報告書で、財政の持続可能性が懸念される国の
1つとして、日本を名指しにしているのである。

7の国債は安全かのリポートの一部を引用したい。
「この預貯金と国債の危険度は、先進国において、史上例にないほど、
世界的に高まってきています。(特に日本と米国)・・・・・今までの常識にとらわれている方は、先行きの見通しが悪ければ悪いほど、預貯金にて貯蓄したくなるでしょう。しかし、預貯金の先にある国債はいよいよパンク寸前です。国債の発行は税収を超え、借金総額は1000兆円・・・堅実な人ほど、痛い目に合う世の中の到来です。」


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1、郵貯限度額、3000万円軸に 郵政見直しで政府・与党
              2010年2月8日  日経
 政府・与党は郵政事業の見直しで、郵便貯金の預入限度額(1千万円)を3千万円に引き上げる案を軸に調整する。郵貯マネーの流出に歯止めをかけ、運用益を増やす狙いだ。日本郵政グループの雇用では非正規社員の正社員への登用拡大を求める。政府による日本郵政への出資比率を巡っては与党内の意見がなお割れており、8日に開く政策会議などでさらに議論する。
 政府・与党内には郵貯の預入限度額を広げて顧客の利便性を高めるとともに、資金を運用して得られる利益を増やして全国で金融サービスを展開する原資を確保したいとの思惑がある。国債中心の運用も見直し、地方債の購入や地域金融機関との協調融資などを通じて地方に還元する方針だ。(06日 09:11)
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2、社説1 民営化を止め郵貯を膨らませるのか(2/7)
   2010年2月7日  日経
 郵政民営化を実質的に棚上げした政府・与党が1人当たり合計1千万円となっている郵便貯金の預入限度額を緩和しようと動いている。政府の信用を背負う公的金融を再び膨らませるのは筋違いだ。限度額の引き上げや撤廃はすべきでない。

 ゆうちょ銀行はかんぽ生命保険とともに2007年10月に政府100%出資の株式会社となったが、他の金融機関との競争条件などに配慮して、郵貯の限度額は政令で従来と同じ1千万円と定められている。

 鳩山政権は日本郵政やゆうちょ銀などの政府保有株の売却を凍結し、今国会に「郵政改革法案(仮称)」を提出する方針だ。民主党と連立を組む国民新、社民の2党は郵貯限度額を当面3千万円に引き上げる案で一致し、実現を求めている。

 「利用者が不便を感じている」「全国一律の金融サービスを展開する財源が必要だ」というのが、緩和を求める与党や日本郵政の説明だ。郵政の収益力強化という観点では一理あるように聞こえ、多額の金融資産を持つ人の便利さも増すだろう。

 だが、ここで郵貯の制限を緩和すれば数多くの問題が生じる。まず「政府の信用」を背負った公的金融が資金を吸い上げる懸念である。

 預金保険で保護される預金の範囲は残高1千万円までの元本とその利子に限られる。政府が経営支配を続けたまま、ゆうちょ銀の預入限度を広げれば、預金者は1千万円を超す部分にも「暗黙の政府保証」があるとの期待を抱きがちになる。

 平時でも民間銀から「より安心」な郵貯に資金が向かう可能性があり、金融システムに不安が生じれば、大口資金が一気に移動しかねない。

 本来、ゆうちょ銀とかんぽ生命は完全に民営化し、民間と対等に競争し合うべきだ。経済活動を活発にするには、効率の低い官業から民間へと資金の流れを変え、より自由にお金が使われるようにした方がいい。民間に流しきれないなら郵貯の規模を縮小するしかない。

 だが、鳩山政権はむしろ官業の拡大で民業を圧迫しつつあるようだ。

 郵貯残高はピーク時より減ったが、なお180兆円弱とメガバンクを上回る。政府は巨額発行が続く国債の引き受けを求めていくだろう。金利上昇時には、郵政は定額貯金の途中解約の増加と国債の含み損という二重の困難に直面しかねない。

 民主党は05年の衆院選で郵貯の預入限度額を下げ、残高の規模を半減させると公約していた。郵貯の肥大化を容認するのなら、百八十度の路線転換ではないか。

3、郵貯限度額「縮小するべき」 全銀協会長
                 2010年1月26日  日経
 全国銀行協会の永易克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は26日の記者会見で、政府内で郵便貯金の預入限度額の引き上げ案が検討されていることについて「(今までの業務内容の)拡大は完全民営化に向けたもの」と指摘した。完全民営化を見直すのであれば「縮小する方向でやっていくべきだ」と述べ、ゆうちょ銀行の業容拡大に反対する姿勢を強調した。
 永易会長は「郵政やゆうちょの資本に国のお金が残り、官業という状態なら、競争条件が民間と全然違う」と指摘。亀井静香郵政・金融担当相との会談については「調整中だが、日程が折り合っていないので決まっていない」と語った。
 オバマ米政権が商業銀行によるヘッジファンドの所有・投資などを禁じるという新規制案を打ち出したことには「日本のメガバンクはこの(ファンド投資などの)部分が小さいので、それほど大きい影響はないだろう」との見方を示した。 (26日 21:28)
4、社説2:日米欧の財政に株安が警鐘
                     2010年2月7日  日経
 株式市場が日米欧の財政状態に警鐘を鳴らしている。先週末の米株式市場はダウ工業株30種平均が反発したものの、一時は9800ドル台まで急落する場面もあった。

 株安の背景には、金融危機の対策で各国政府の財政が悪化し、市場が「政府の信用リスク」を警戒しはじめたことがある。各国が景気をにらみつつ、財政再建を進めることが、株式市場の安定にも欠かせない。

 株安が連鎖したきっかけは、不調に終わった3日のポルトガル国債の入札だ。市場の不信感は、ポルトガル以上に財政が不安視されていたギリシャに飛び火した。投資家がリスク回避の動きを強め、欧州全域で株式の売却を急いだ。

 日米も、株安の連鎖に巻き込まれやすい構造的な弱さを抱える。

 今月初めにオバマ米大統領は2011年度の予算教書を発表し、財政赤字は3年続けて1兆ドルを超える見通しとなった。米格付け会社は、財政再建を進めなければ、米国債が中期的に最上格のトリプルAを失う可能性を指摘している。

 「プレッシャーにさらされる国家信用」。国際通貨基金(IMF)は1月の国際金融安定性報告書で、こんな項目を設け、財政の持続可能性が懸念される国の1つとして、日本を名指しにしている。

 金融の引き締めに動いている中国の株価は、先進国に先駆けて下落基調をたどっている。さらに、金融機関に過度の投機を禁ずる米国の新規制案も、議論の行方によっては、新興国を含めた世界市場で信用収縮を起こしかねない。過剰流動性に支えられた新興国の市場に、株安の歯止め役は期待しにくくなった。

 幸いにして、日米欧の企業決算は総じて好調だ。新製品の投入やリストラが奏功し、業績や財務の不安は薄らいでいる。危機から脱しようとする企業努力に「政府リスク」に端を発する株安が、水を差すようなことを繰り返してはなるまい。

 カナダのイカルイトで開かれた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、ギリシャの財政問題への支援が議論された。国際協調が進めば、投資マネーは動きやすい。しかし、市場はギリシャだけでなく、日米にも常に厳しい目を向けている。

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石田ふたみ