『日々の映像』

2009年09月05日(土) 当分は政権移行ニュースが続く



1、民主幹事長に小沢氏、岡田氏は重要閣僚で処遇
                      2009年9月4日  日経
2、米国務次官補「我々は忍耐必要」 日本の政権交代
                      2009年9月3日  日経
3、民主・鳩山代表「反米」批判に当惑 論文に米メディア論評
2009年9月3日 日経
4、民主党を分析…衆院選受け米でセミナー相次ぐ
                      2009年9月2日  日経
5、社説 鳩山政権は対米政策で「君子豹変」せよ(9/2)
                      2009年9月2日  日経

 政権の移行がある程度まで終わるまでには、2〜3月は要するだろう。それまではこれらに関するニュースの山である。今朝は多忙のため内容は省略。

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1、民主幹事長に小沢氏、岡田氏は重要閣僚で処遇
                      2009年9月4日  日経
 民主党の鳩山由紀夫代表は3日夜、党本部で小沢一郎代表代行と会談し、幹事長就任を要請した。小沢氏は受諾した。来年夏の参院選に向けて引き続き選挙を担当したいという小沢氏の意向に沿った人事となった。現幹事長の岡田克也氏は重要閣僚として処遇する。党実力者の小沢氏が幹事長に就任することで政府・与党の力関係に大きな影響がありそうだ。
 鳩山氏は会談後、小沢氏起用の理由について「党務と政府の意思決定を両輪として回さないといけない。総選挙は小沢さんのおかげで300を超える議席をとることができた」と記者団に語った。
 岡田氏に関しては「枢要な内閣のポストに就いてもらいたい」と述べ、重要閣僚で入閣を求める考えを表明。当面は岡田氏が幹事長として連立協議などを担当する。菅直人代表代行も重要ポストで処遇する方針だ。衆院議長人事を来週中に行う考えも示した。
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1、米国務次官補「我々は忍耐必要」 日本の政権交代
                    2009年9月3日  日経
 キャンベル米国務次官補は2日、衆院選で民主党主導の政権が発足する見通しとなった日本の情勢についてワシントン市内で講演し「民主主義の政権移行は難しい。我々は忍耐しなければならない」と語った。新政権発足から数カ月間は政策運営を見守る姿勢を示したものだ。
 衆院選後、オバマ政権の対日政策を担う当局者が公式の場で発言するのは初めて。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などに掲載された民主党の鳩山由紀夫代表の論文で「米国離れ」とも受け取れる文脈があったことに米国内で波紋が広がっており、次官補はそれを意識し、冷静な対応を訴えたとみられる。
 日本の新政権の滑り出しについては「新たな意思決定の仕組みができるまで数カ月かかる可能性もある」との認識を表明。民主党が掲げる「対等な日米同盟」が米国の一部に懸念を呼んでいることを念頭に「日本が自信と主体性を感じることは不可欠だ。米国は支持する」と言明した。(ワシントン=弟子丸幸子) (11:22)
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2、民主・鳩山代表「反米」批判に当惑 論文に米メディア論評
2009年9月3日 日経
 ニューヨーク・タイムズ(電子版)などに掲載された民主党の鳩山由紀夫代表の論文に米国内で批判的な声が出ていることに、鳩山氏が困惑している。日本の雑誌に掲載されたものを転載しているため、鳩山氏側は「英字紙に寄稿した事実はない」と釈明。今月下旬の初訪米を前に「反米」にとられかねないとの懸念もあり、3日のオバマ大統領との電話協議でも対米重視の姿勢をアピールした。
 ニューヨーク・タイムズ(電子版)などに8月27日付で掲載された論文は米国主導のグローバリズムを否定的にとらえ、アジア共通通貨の創設などを目標に掲げた。これに対し、ワシントン・ポストは1日付の社説で「経験の少ない政治家」などと鳩山氏の外交姿勢を批判的に論評した。(11:08)
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3、民主党を分析…衆院選受け米でセミナー相次ぐ
                      2009年9月2日  日経
 日本の衆院選を受けて米首都ワシントンで、日本関連のセミナーが相次いでいる。米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院(SAIS)が1日に開催したセミナーには米国の日本専門家や国務省高官、情報機関の出身者ら100人以上が出席。2日には有力シンクタンクが相次ぎ会合を開き、キャンベル国務次官補らオバマ政権の高官が講師として参加する予定だ。
 SAISの会合では、知日派のケント・カルダー同大教授らが投票結果、自民党の敗因や民主党の政権構想を詳細に説明した。
 カルダー教授は民主党の鳩山由紀夫代表が掲げる「アジア共通通貨」の創設構想について「何年もかかる」と語るとともに、新政権は当面、内政問題への対応に追われると予測。ラスト・デミング元駐日米公使は、在日米軍再編や思いやり予算見直しなど民主党の安全保障政策が日米関係に与える影響を懸念していた。(ワシントン=弟子丸幸子)(19:01)
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社説 鳩山政権は対米政策で「君子豹変」せよ(9/2)
                      2009年9月2日  日経
 鳩山政権に対する最も深刻な不安は、外交政策とりわけ対米関係をめぐるそれである。民主党が野党時代の態度を貫けば、不安は現実になるだろう。鳩山政権にとり「君子豹変(ひょうへん)」は不可避であり、私たちはそれを求める。

 君子豹変は、節操なく態度を変える意味で使われがちだが、本来は違う。広辞苑によれば、出典は易経であり「君子は過ちがあればすみやかにそれを改め、鮮やかに面目を一新する」とある。

日米関係に4つの懸念

 「変化」を掲げたオバマ米大統領も、就任後直ちに選挙モードを統治モードに転換した。当然である。衆院選期間中、私たちは民主党の外交政策を「曖昧(あいまい)すぎる」と指摘した。マニフェスト(政権公約)には「緊密で対等な日米関係を築く」とある。「緊密」や「対等」の中身は明確ではなかった。

 だが民主党は曖昧路線を変えなかった。選挙後の豹変を織り込んだ戦術的判断だったのか。意図的に曖昧にしてきた政策を現実路線に転換するのは、有権者に対する裏切りではない。逆に野党時代の方針を惰性のまま続け、日米関係に波風を立て、北東アジアを不安定にする選択は、政権党として無責任になる。

 野党時代に民主党がとった態度のうち、日米関係に否定的な影響を与える問題が少なくとも4つある。

 順不同であげれば、第一に、インド洋での海上自衛隊による給油活動反対である。第二に、沖縄の普天間基地の県外移設を求めた点である。第三に「思いやり予算」と呼ばれる在日米軍に対する日本側負担への反対である。第四に、日米地位協定の改定を求めた点である。

 インド洋での給油活動は2010年1月に現行法が期限切れになる。次の首相になる鳩山由紀夫代表は、延長しないと言明し、給油以外の新たな協力を考える。

 新たに何をするのか。外務省や国際協力機構(JICA)の職員は、既にアフガニスタン本土を駆け経済協力のために汗を流している。

 ならば新たに陸上自衛隊を派遣するのか。陸上兵力を派遣した欧米諸国は、多くの命を犠牲にしている。それに比べ、安全性が高く、各国の評価も高いとされる給油活動を打ち切るのは賢明だろうか。

 普天間基地の県外移設も簡単ではない。民主党有力者の地元である北海道や岩手県、三重県などに適地があれば別かもしれない。それがないまま、1996年の合意から13年たっても実現しない移設の交渉をやり直せば、市街地に囲まれた普天間の危険な現状が半永久的に続く。

 これらに比べれば、日米地位協定の改定や「思いやり予算」をめぐる交渉の提起それ自体は、日米関係に悪影響を与えるわけではないが、出口の見えぬ交渉の覚悟が要る。それに時間を割く余裕は本来ないはずである。北朝鮮の核問題、中国の存在感増大など日米の戦略的対応を要する優先課題が多いからだ。

 それでも対等な日米関係のためにこれらの交渉が必要と民主党は考える。私たちは、日本政府による集団的自衛権の解釈変更こそ、緊密・対等な関係を確かにすると考える。

 それは米側の期待でもある。民主党が方針を転換し、集団的自衛権の解釈を変え、新たな日米防衛協力の枠組みができれば、地位協定改定の実質的交渉の環境整備にもなる。

 これら4点以上に深刻なのは、外相候補とされる岡田克也幹事長が、核の先制不使用の宣言を米国に求めると発言してきた点だ。現時点では日米関係というよりも、日本の安全それ自体に有害な提案である。

逆効果の核先制不使用

 確かに米国とロシアのように、核弾頭数が均衡し、核攻撃によって失うものが多いと自覚する国々の関係では、先制攻撃よりも第2撃能力によって核抑止が維持される。仮に米国がモスクワ攻撃を宣言すれば、ロシアは数分後に第2撃を放ち、ニューヨークを消滅させる。双方に損失が大きい。だから核攻撃はしない。これが核抑止理論である。

 しかし北朝鮮のように、失うものへの自覚が不明確な国には、それは通じにくい。北朝鮮が東京を核攻撃すると宣言し、米国が先制不使用の原則に縛られる場合の対応は「東京を消滅させれば、数分後に平壌が消滅する」と警告するにとどまる。日米の通常戦力が上回るにせよ、これで日本は安心できるだろうか。

 北朝鮮が東京攻撃を宣言した場合に、米国による先制攻撃が想定されなければ、日本の安心・安全は保てない。米国が先制不使用を宣言すれば、北朝鮮のような国やテロリストへの核拡散を誘発し、日本核武装論を勢いづける危険もある。

 中国は先制不使用を宣言したが、実際の核配備がそれに見合っているか、検証は認めない。先制不使用は実は「軍縮の論理」ではない。


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石田ふたみ