『日々の映像』

2009年07月19日(日) 日本人の平均寿命、世界一になったことによる問題点 

報道
1、日本人の平均寿命、女性24年連続世界一 男性も最高更新
                   2009年7月16日  日経
2、現実味増す「長寿→生活保護」
                   2009年5月27日 日経

 日本人の平均寿命は女性が86.05歳、男性が79.29歳となり、男女とも過去最高を更新したという。日本人の平均寿命が世界一になった事による問題点が大きくクローズアップされている。それは経済問題、最晩年期の「マネー使い果たしリスク」の現実なのである。

 この現実的な問題を報道2の現実味増す「長寿→生活保護」で論じている。
このテーマの関心のある方は、長文の引用ですが一読されることをお薦めします。
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1、日本人の平均寿命、女性24年連続世界一 男性も最高更新
                   2009年7月16日  日経
 日本人の平均寿命は女性が86.05歳、男性が79.29歳となり、男女とも過去最高を更新したことが16日、厚生労働省の2008年「簡易生命表」で分かった。女性は0.06歳、男性も0.1歳、前年より延びた。男性はがん、女性は脳血管疾患の死亡が少なくなったのが寄与した。女性は24年連続長寿世界一で、男性は07年の3位から4位に下がった。
 インフルエンザ流行で平均寿命が短くなった05年以降、男女とも3年連続で延びた。国際比較では女性の2位は香港の85.5歳、3位はフランスの84.3歳。男性の1位はアイスランドの79.6歳、2位は香港とスイスの79.4歳で、スイスに抜かれた。
 08年に生まれた赤ちゃんのうち、65歳以上まで生きる人の割合は男性は86.6%、女性で93.4%。さらに90歳以上まで生きる人の割合は男性は21.1%、女性は44.8%となった。全体の半分の人が生きる年齢(寿命中位数)は男性が82.21歳、女性は88.83歳だった。 (20:47)
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2、現実味増す「長寿→生活保護」
                      2009年5月27日 日経
http://waga.nikkei.co.jp/comfort/life.aspx?i=MMWAg3000026052009&page=1
 長生きはしたいが、資金ショートが心配。年金が頼りにならなくなった今、50代以上にじわりと広がりつつある気分だ。しかし、66歳で再婚し、子供をもうけたファイナンシャルプランナーの紀平正幸さんは『100歳までの作法と“お金”』(三五館刊)を書いて、「50歳からでも100歳までの資金手当は間に合う」と勇気づける。「アフター80歳」を見据えたライフプランを、紀平さんに教わった。
 《ファイナンシャルプランナーの紀平正幸さん》日本の平均寿命は男女平均が83歳で、WHO加盟国・地域の中でトップです。女性は86歳、男性は79歳で、この数字から「人生80年」というイメージが浸透しているようです。しかし、この数字は平均ですから、当然、90歳、100歳と長生きする人は大勢いるわけです。80歳をゴールに老後を設計してしまうと、長生きした場合に資金を使い果たしてしまうリスクが高まります。むしろ、「100歳まで生きる」ということを前提に、マネープランを組んでおかないと、資金ショートに直面する危険を招き寄せてしまうことになりかねません。
 シニアの後半生を揺るがす重大なテーマであるにもかかわらず、政府はこの問題を、わざとグレーにしてきた気配があります。なぜでしょう。
 政府が「アフター80歳」の問題をぼかしてきたのには、それなりに理由があります。この時期のライフコストを論じ始めると、どうしても年金問題への波及が避けられず、ただでさえ揺らいでいる年金制度への不安をさらにあおることになりかねません。年金制度維持に政府がもっと資金を注ぎ込むことを求める気運が高まり、財政への圧迫要因になるという懸念も見え隠れします。
 そもそも、平均寿命より先の長生き期間は、個人差が大きくなるので、ひとまとめにして取り扱いにくいという事情もあります。こうした複雑な思惑から、最晩年期の「マネー使い果たしリスク」は行政からは放置されてきたきらいがあります。
 でも、団塊の世代が定年を迎える時期となり、さらに大勢が高齢者の仲間入りをするに至って、もうこの問題を見て見ぬふりはできなくなりつつあります。あえて「100歳」を新たな生活設計の区切りに置いたのは、そこを明確にしたかったからです。
 シニアを取り巻くマネー環境は大きく様変わりしました。現在の70歳より上の世代は夫婦で年間450万円も年金がもらえるので、何歳まで生きても、生活費の心配はあまりせずに済みました(夫はずっと会社勤め、妻は5年働いて、後は専業主婦のケース)。生活費が仮に1カ月25万円で済めば、1年に約100万円も余る計算です。
 でも、これから年金をもらう世代は事情が別です。年金額がぐっと減るので、長生きすればするほど、生活費が足りなくなるおそれが高くなってしまうのです。現在の60歳夫婦が受け取れる年金額は270〜280万円までに減っています(同じ条件の場合)。
少し上の世代に比べて、年間170万〜180万円も少ない年金の穴埋めを、これからの受給者は自前資金でまかなわなければなりません。自前資金からの取り崩し額が増える分、リタイアまでに貯めた老後資金を、シニアライフの途中で枯渇させてしまうリスクが確実に高まっているのです。
 大企業に勤めていれば、公的年金に企業年金の上乗せが期待できます。でも、その扱いが生涯続く保障はありません。経営の重しになりつつある年金を、企業側は徐々に細らせていく動きを見せていて、会社を離れて久しい80歳以上の年金を払い続けてくれるかどうかは先行き不透明になりつつあります。
 「人生80年+α」と考えられていたかつては、20代前半から約40年間かけて蓄えた資産を、60歳から先の20年間余りで食いつぶしていました。ほぼ消費オンリーの期間(20年間)は、貯める期間(40年間)の半分しかないので、比較的バランスはとりやすかったでしょう。
 しかし、100歳まで生きると仮定すれば、60歳リタイア後は40年間もあります。40年間かけて蓄えた資産を、残りの40年間も枯渇しないように保たねばならなくなったわけです。貯める期間と、消費する期間がほぼ同じですから、現役期間の稼ぎだけで、老後すべてのコストをまかなうのは難しくなってきます。
 夫婦がともに長寿であるのは素晴らしいことです。でも、長生きしてどちらかが先に健康を損ねると、老夫婦がどちらかを介護するような状況が生まれます。しかも、親世代も長寿である場合、老夫婦がさらに1世代上の父母を介護するケースも起き得ます。かさむ医療・介護コストはますますシニア家計を圧迫する可能性が出てくるわけです。
 もっとも、定年退職時に老後資金を全額確保しておく必要はありません。80歳から先の生活費は、80歳以降に手に入れても構わないわけです。60歳以降の収入源としては、働いて得る所得と、資産運用で得る所得の2種類を組み合わせたいところです。企業の雇用はこの先、65歳まで定年延長が進むと思われますが、その後の70、80歳まで働くのが当たり前の時代になっていくでしょう。例えて言えば、60歳が「義務教育」のような扱いになっていくのかも知れません。
 さすがに70歳を過ぎると、雇用の機会はなかなか求めにくくなります。自営業で仕事が続けられるようなワークプランを、リタイア前から準備しておきましょう。60歳を通過点と考えて、スキルと人脈を積み上げておくのが得策です。
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様々な手を講じておいても、予想外の事態は起き得ます。支出がかさんで、資金が底を尽いてしまうケースは誰にとってもありえる事態です。だから、生活保護を受けることを、恥ずかしいと感じる必要はありません。納税義務を果たしてきた70、80代が生活費に困窮して、「救命非常ボタン」として生活保護を申請するのは、当然の権利です。
 60歳から先の生活では、現金が大事になってきます。収入が年金しかなくなるのなら、手元のキャッシュを減らさないようにしたいところ。フロー(現金)重視型の家計がシニアライフには似つかわしいのです。
 ストック(不動産)をフローに変える工夫の1つが持ち家の処分です。30、40代に買った家は主に子育てが目的の家だったはず。でも、60歳を過ぎれば、部屋数は少なくて済むし、メインテナンスの手間が軽い家の方が使い勝手に優れています。今の持ち家を売って、もっと小さい家に住み替えるプランは頭に入れておいてもいいでしょう。自宅を貸し出す手もあります。
 買い換えや売却を視野に入れていないシニア世帯は、しばしばリフォームを繰り返す傾向があります。しかし、リフォームを繰り返してキャッシュを減らしてしまうのは、手元資金の確保という面から考えると、必ずしも得策とは言いにくいところがあります。大がかりなバリアフリー工事にはかなりの資金を要する場合があり、家計フローの圧迫は無視できません。
 長く生きれば、やがて介護が必要な状況になる可能性があります。しっかりしたサービスを受けようと望むのであれば、医療と介護ケアを組み合わせた複合施設に入居するという選択肢があり得ます。自宅に来てもらって介護を受けるよりも、設備・環境面で安心が高いと言えるでしょう。ただ、入居金が2000万〜4000万円かかることが珍しくないので、夫婦で入居しようと思えば、自宅を売却した上に、キャッシュを上乗せする必要が出てきそうです。
 住宅をフロー資産、利用対象と考えるなら、持ち家という「常識」から離れて、賃貸に住み続けるという住み方も視野に入ってくるでしょう。繰り返して言いますが、老後に大事なのはキャッシュです。持ち家を手放しても、まとまったキャッシュが手に入るのであれば、賃貸に住み替える手はアリでしょう。
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http://waga.nikkei.co.jp/comfort/life.aspx?i=MMWAg3000026052009&page=1

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石田ふたみ