『日々の映像』

2008年11月11日(火)  政治家の欺瞞に満ちた演説

麻生首相は何を持って景気回復というのだろう。麻生首相の大衆向けに演説は欺瞞に満ちているように思う。2007年の法人所得総額55兆2871億円で過去17年間では2番目の高さなのである。過去17年間で最高の法人所得が一番多かったのは、前年の2006年なのである。すなわち、法人所得で見る限り過去17年では2年連続で最高の景気なのである。

麻生太郎首相は9日午後、水戸市で街頭演説し、「向こう3年間くらい景気対策をやらない限り今の不景気を抜け出すことができない。景気対策をまずやって、そこそこ景気を良くして、介護、福祉、医療に使わせてもらうため、ぜひ消費税を上げさせてください」といっている。不景気を感じているのは庶民だけで、企業は過去最高の利益を上げているのである。

勤労者の所得は過去10年あまり全く増加していない。企業は過去最高の利益を上げているのに勤労者の所得は増えない。日本は民主主義国家でなく企業主義国家の側面が強く、企業が繁栄してもそこに働く勤労者は、派遣・臨時社員の割合の通り使え捨ての傾向が強くなっている。・・・ここにメスを入れるのが政治でないかと思う。政治家の単純で欺瞞に満ちた演説は聞くに耐えない。

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景気回復後「ぜひ消費税上げを」=麻生首相、茨城で地方遊説第1弾
                       2008/11/09 時事通信
 麻生太郎首相は9日午後、水戸市で街頭演説し、「向こう3年間くらい景気対策をやらない限り今の不景気を抜け出すことができない。景気対策をまずやって、そこそこ景気を良くして、介護、福祉、医療に使わせてもらうため、ぜひ消費税を上げさせてください」と述べ、景気回復後の消費税増税に理解を求めた。
 首相は同日、次期衆院選に備えた地方遊説の第一弾として茨城県入り。水戸市では約5000人の聴衆を前に街頭演説した。この中で首相は「平均寿命が長くなったら、制度が同じで持つはずがない」と指摘。「米国みたいに低負担で低福祉にするか。北欧みたいに消費税がものすごく高くて福祉も高いのにするか。それとも中福祉・中負担にするのか、みんなで考えないといけない」と述べた。
 さらに、「こういったことを言ったら選挙の票にならないとみんなが言うが、言わない方が無責任だ」と強調した。 
 一方、首相は同県ひたちなか市の那珂湊漁協を訪問し、魚市場を見学。つくば市では「つくば科学フェスティバル」や筑波宇宙センターを視察した。
 視察後、首相は記者団に「自分で見るのと話を聞くのでは大違いだ」と強調。街頭演説に関しては「消費税引き上げの話だから、面白い話ではないが、きちんと聞いてもらえるというのはすごく大きい」と述べた。(了) 那珂湊(なかみなと)
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法人所得:総額55兆2871億円…07事務年度
毎日新聞 2008年10月30日 23時57分

 今年6月末までの1年間(07事務年度)に税務申告した全国の法人の所得総額は、55兆2871億円となったことが国税庁のまとめで分かった。16年ぶりに過去最高を更新した前年よりも3.1%減少したものの、統計を取り始めた67年以降では2番目に高く、50兆円を3年連続で超えたのもバブル期の89〜91事務年度以来。今年前半まで続いたとされる「戦後最長の景気拡大」を反映したものとみられる。
 法人税を納めることになる黒字申告の法人割合は、バブル崩壊までは6〜4割程度だったが、その後は一貫して3割程度に低迷しており、07事務年度も32.3%だった。一方、資本金1億円以上などの大企業に限ると、黒字申告割合は53.8%と高率で、最近まで続いた「景気拡大」が一部の大企業を中心としたものに過ぎなかったことがうかがえる。
 また、国税当局は課税逃れなどが見込まれる法人14万7000件について税務調査を行い、そのうち74.1%の10万9000件で1兆6259億円の申告漏れを指摘した。
 また、二重帳簿をつけるなどの不正が見つかり、所得隠しを指摘された割合が高かった業種は、バー・クラブ(58.1%)、パチンコ(50.1%)、古紙リサイクルなどの再生資源卸売(37.5%)だった。【高島博之】
毎日新聞 2008年10月30日 23時57分





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石田ふたみ