『日々の映像』

2008年09月29日(月)  中山国交相:就任から5日で辞任 お粗末の極致 

 余り激しい言葉を使うことは好まないが、中山国交相の辞任に関しては「お粗末の極致」と言わせてもらう。この程度の議員を当選させる衆院岐阜4区の選挙民の中には恥ずかしいと思っている人が多いと思う。今度の選挙でまた当選してくるのだろうか。もし当選するようであれば、日本には民主主義はまだ定着していないといわなければならない。

1、中山国交相辞任:首相、任命責任認める 後任に金子一義氏
                       2008年9月28日 毎日新聞 
2、「水差された」自民議員怒り…中山国交相は辞任後も持論 
                       2008年9月28日読売新聞
3、「確信的」最後まで強弁、日教組を再び批判 中山国交相辞任
                       2008年9月28日 日経
4、中山前国交相:民主党政権なら日本が大阪府に 止まらぬ暴言
                       2008年9月29日 毎日新聞
5、社説2 内閣の出ばなくじく中山発言(9/28)
                       2008年9月28日 日経
6、社説:中山発言 任命者の見識も問われる
                       2008年9月27日 毎日新聞 

―――――――――――――――――――――――――――――――――
1、中山国交相辞任:首相、任命責任認める 後任に金子一義氏
2008年9月28日 毎日新聞 
 中山成彬国土交通相(65)は28日午前、臨時閣議に先立って首相官邸で麻生太郎首相に会い、成田空港の拡張が進まなかった原因を「(地元住民の)ごね得」などとした一連の問題発言の責任を取って辞表を提出し、受理された。麻生首相は、後任に自民党古賀派の金子一義元行革担当相(65)を起用。29日の認証式を経て就任する。内閣発足から5日目の閣僚交代に、野党は首相の任命責任を厳しく追及しており、麻生政権は発足早々、大きな打撃を受けた。
 首相は28日夕、中山氏の発言について「甚だ不適切。国民かつ関係していた方々に心からおわびする。必然的に辞めてもらった」と述べ、陳謝した。そして「指名した段階では適任だった」としたうえで「任命責任はあったということだったと思う」と語り、自らの任命責任を認めた。金子氏の起用に関しては「道路特定財源の一般財源化を現実にするために、税に詳しい人を選任した」と述べた。
 首相は、迅速に後任を決めたことで事態を収拾し、08年度補正予算成立後の早期解散という戦略を貫きたい意向。しかし野党は「任命責任は重く、辞めて済む話ではない」(民主党の鳩山由紀夫幹事長)などと強く反発している。与党内にも、野党の追及をかわすために代表質問終了直後の衆院解散を求める声が高まっており、首相は補正予算案の取り扱いや解散時期に苦慮することになりそうだ。
 中山氏は25日の報道各社のインタビューで「ごね得」のほか、「日本は単一民族国家」「日教組(日本教職員組合)が強いところは学力が低い」などと発言。その後、「ごね得」と「単一民族国家」については撤回したが、日教組については「日本の教育のがんは日教組だ」などと重ねて発言していた。
 中山氏から辞表提出を受けた際、首相は「誠に残念だ」と述べたという。辞任理由について、中山氏は28日の記者会見で「私がいることで補正予算案の審議に支障があれば本意でない」と説明した。【西田進一郎】
 金子一義氏(かねこ・かずよし)党中小企業調査会長。行革担当相。建設政務次官。慶応大。衆院岐阜4区。当選7回。65歳。古賀派。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2、「水差された」自民議員怒り…中山国交相は辞任後も持論 
               2008年9月28日22時54分 読売新聞
 相次ぐ問題発言で辞任に追い込まれた中山国土交通相は、28日の最後の記者会見でも、日教組をめぐる一連の発言について「撤回しない」と開き直った。
 なおも「(日教組には)子供をダメにしようという闘争方針で活動している人がいる」などと“持論”を展開。近く予想される総選挙に向け、地元に戻っていた自民党議員らからも「完全に水を差された」と怒りの声が上がった。
 首相官邸で麻生首相に辞表を提出後、午前10時半すぎから、国交省内で辞任会見に臨んだ中山国交相は、約70人の報道陣を前に「重要なポストにつけていただき、意欲を燃やしていたが」と無念そうな表情で語り始めた。しかし、質疑応答で日教組を巡る発言について聞かれると、「政治家としては撤回したという考えはない」と強調し、「(国民の関心を呼んで)良かったと思う」と言い放った。
 「日教組は教育のがん」などと前日に地元・宮崎で発言した内容については「確信的にあえて申し上げました」と語気を強め、報道陣から「辞任する覚悟だったのか」と聞かれると、無言のまま軽くうなずいた。会見は約1時間。ほとんどが放言問題だった。
 わずか5日で大臣が去った国交省では「あまりに無責任」と批判の声が噴出した。幹部の一人は「道路財源の無駄遣いや官製談合から、信頼回復に向けて動きだしたばかりなのに。省のイメージは悪くなるばかりだ」。成田空港問題に携わったことがある職員は「現場の苦労を知らない人の発言」と怒り心頭の様子だった。
 麻生内閣発足後、初の週末となり、選挙をにらんで地元に戻るなどしていた自民党議員らからも、出はなをくじかれ恨み節が漏れた。
 中山国交相の隣の選挙区である宮崎2区から出馬予定の江藤拓衆院議員は「がっかりしている。日本全国の選挙に影響が出る」と困惑しきり。自民党北海道連会長の今津寛衆院議員は「国会の論戦で、我が党の政策をしっかり有権者に理解してもらってから選挙に臨む方がいいかも……」と、早期解散を避けたい考えをにじませた。同党秋田県連の鈴木洋一幹事長は「総選挙への機運を高めていたのに、完全に水を差された。有権者に私が謝罪しても仕方ないが、説明して歩かなければならないだろう」と怒りを隠さなかった。
 民主党側からは「思わぬ敵失」との声も。東京5区で返り咲きを目指す手塚仁雄・前議員は「麻生さんの任命責任は重い。その点を有権者に問う」と語気を強めた。秋田3区から民主党公認で立候補予定の京野公子氏は「勝負をかけたはずの麻生内閣の閣僚から、こんな発言が出るなんて。選挙に与える影響は(民主にとって)悪くないはず」と話した。
(2008年9月28日22時54分 読売新聞)


――――――――――――――――――――――――――――――――――
3、「確信的」最後まで強弁、日教組を再び批判 中山国交相辞任
                        9月28日 日経
 「確信的に申し上げた」――。問題発言を連発し、28日、就任からわずか5日で国土交通相辞任に追い込まれた中山成彬氏(65)。首相官邸で辞表を提出した後、同日午前10時半から東京・霞が関の国土交通省で開かれた辞任の記者会見でも、再び日本教職員組合(日教組)批判を展開し、発言自体への反省の弁は最後までなかった。問題発言に巻き込まれた地域では、身内の自民陣営からも「総選挙に影響する」などと怒りや困惑の声が上がった。
 国交省の会見場に現れた中山氏は、目線を下に落とすなど落ち着かない様子で、会見の冒頭では「大臣就任を喜んでくれた地元の人に申し訳ない。身が引きちぎられる思いだ」と謝罪の言葉を口にし、神妙な表情を見せた。
 しかし、辞任につながった27日の地元・宮崎県での日教組攻撃の発言は失言ではないとして、「確信的にあえて申し上げた」と強調。「一部の教職員が子供を駄目にして、日本を駄目にしようとしている」「教育より政治に力を入れている」などと激しい攻撃を連発した。(22:03)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
4、中山前国交相:民主党政権なら日本が大阪府に 止まらぬ暴言
毎日新聞 2008年9月29日 東京夕刊
 失言問題で辞任した中山成彬(なりあき)前国土交通相は29日午前、TBSの情報番組に出演し、「民主党政権が誕生すると、日本全国が今の大阪府みたいになる。職員組合とのなれあいで財政破綻(はたん)にひんしている」と述べた。大阪府をやり玉に挙げて労働組合の支援を受ける民主党批判を展開した。
 成田空港拡張への反対を「ごね得」などと発言したことについては、「(関係者に)不快な思いをさせたことはおわびしたい」と陳謝した。一方で、「政治生命をかけてでも国民に訴えていかないといけない責任がある」と述べ、日本教職員組合(日教組)を「日本の教育のがん」などと批判した発言は撤回する考えがないことを改めて示した。
 また中山氏は、28日に首相官邸で麻生太郎首相に辞表を提出した際のやりとりを紹介。中山氏が「麻生さんの前で腹を切りに来た。任命責任と言われるだろう。本当に申し訳ない」と申し出ると、首相は神妙な面持ちで「誠に残念」とつぶやいたという。【近藤大介】

――――――――――――――――――――――――――――――――――
5、社説2 内閣の出ばなくじく中山発言(9/28)
                        2008年9月28日 日経
 成田空港拡張の遅れを「ごね得」などと発言した中山成彬国土交通相は引責辞任が避けられない情勢になった。野党が一斉に辞任を要求し、与党内でも衆院解散・総選挙への影響を最小限に食い止めるため、辞任を求める声が強まった。新内閣を発足させたばかりの麻生太郎首相は出ばなをくじかれた。

 中山国交相は閣僚として緊張感が欠けていたのではないか。麻生内閣が発足し、来るべき解散・総選挙で麻生自民党が小沢民主党との一大決戦に臨もうとする矢先に、問題発言を連発して野党を利するのは、考えられない失態である。閣僚の資質に欠けると言わざるをえない。

 中山発言は就任直後の報道各社のインタビューで飛び出した。成田空港の拡張について「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思いますが、公共の精神というものが無くて、自分さえよければという風潮の中でなかなか拡張もできなかったのは大変残念だ」と語った。

 観光振興に関連して「日本は単一民族で内向きになりがち」とも述べた。また、日教組を痛烈に批判し、「大分県の体たらくなんて日教組ですよ。日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県は学力は低いですよ」などと語っている。

 中山氏は成田空港と観光振興に関する発言については撤回して謝罪した。しかし、日教組に関する発言については撤回せず、27日に地元・宮崎市で「道徳教育に反対する日教組は解体すべきだ。自分はその運動の先頭に立ちたい」と日教組批判をエスカレートさせた。

 中山氏個人の意見なら、日教組批判に共感する人もいるかもしれないが、国交相の発言としては適切でない。中山氏は文部科学相在任中もさまざまな発言で物議を醸し、そのストレートな言動を懸念する向きも少なくなかった。

 先の自民党総裁選で中山氏は最大派閥の町村派事務総長として派内の大勢を麻生支持にまとめることに貢献した。今回の入閣もそうした論功行賞の面があったはずである。中山氏は「出処進退は自分で決める」と語った。麻生首相の任命責任も厳しく問われるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6、社説:中山発言 任命者の見識も問われる
2008年9月27日 毎日新聞 
 中山成彬国土交通相が報道各社のインタビューで、成田空港建設に地元の「ごね得」があったなどと発言した。撤回し陳謝もしたが、それで落着する問題ではない。所管する課題への認識の誤りや甘さは、閣僚の資質を疑わせ、任命した麻生太郎新首相の見識も厳しく問われる。
 成田空港については中山氏はこう発言した。
 「昭和53(1978)年にアメリカから帰ってきた時に着陸したが、1車線(滑走路1本)がずうっと続いて日本とは情けないなあと。ごね得というか戦後教育が悪かったと思うが、公共の精神というか、公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮の中で、なかなか空港拡張もできなかったのは大変残念だった」
 60年代に始まる成田空港建設事業は、反対する地元住民側と先を急ぐ国(旧運輸省)側とが対立し、激しい反対闘争が続いた。政府は「円卓会議」の話し合いなどを経て、95年、強引に事業を進めようとした国側に問題があったことを認め、謝罪した経緯がある。
 政府が「ボタンの掛け違い」の責任を認めたもので、地元が「ごね得」狙いだったといういわれはない。
 「公共の精神のなさ」や「戦後教育の悪さ」がどうこの問題と結びつくのか。その論理は判然とせず、一方的な思い込みと思われる。長年の努力で築かれてきた地元と国交省の信頼関係も突き崩しかねない。
 中山氏は日教組に矛先を向け「日教組の子供は成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」ときめつける。さらに「全国学力テストを提唱したのは日教組の強いところは学力が低いのではないかと思ったから。現にそう。だから学力テスト実施の役目は終わったと思う」と言う。
 中山氏は小泉純一郎内閣で文部科学相を務め、学力テスト実施を唱えた。学力向上の指導が目的だったはずだが、日教組と低学力の関係をみたかったという。いったい何を根拠に因果関係を実証したか。「役目は終わり」とは、毎年数十億円もかけるテストを導入しながらあまりに軽々しく、無責任というほかない。
 また観光政策に関し、日本について「単一民族」という言葉を用い、これも認識の誤りと問題になった。
 中山氏の発言が問題になるのは初めてではないが、麻生首相は熟慮の人選をしたのか。真に「適材適所」だったか。国民の疑問と失望は小さくない。政府は今、同時進行で重要課題を抱え、閣僚は政局にかかわらず全力の職務遂行が求められる。
 短命政権下で短期の閣僚交代が繰り返され、内閣は行政最高機関としての信を問われている。
 首相は各閣僚の問題認識と姿勢を改めて正し、今回のような問題には厳しく対処すべきだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ