『日々の映像』

2008年01月17日(木)  時限爆弾化するか アメリカのサブプライムローン問題

 
米シティ、サブプライム焦げ付きで2.4兆円もの損失を出すと言う。底知れない恐怖を感じると言ったら言い過ぎだろうか。少なくとも時限爆弾を抱えるアメリカである。サブプライムローン問題が世界不況に繋がる気配がありありである。

 今回のサブプライムローン問題では、ヨーロッパを中心に、世界中の金融機関が大きなダメージを受けた。グリーンスパン前FRB議長は今回の混乱を「1987年のブラックマンデーや1998年のLTCM破綻時の混乱と酷似」さらには「1929年の金融恐慌とも類似する」と指摘したという。

 基軸通貨国であり覇権国であるがゆえに、世界中の資金が集まることで支えられているが、この「帝国」がいつか崩壊するのではないかという不安も漂っているようだ。世界ニュースの中では最大のテーマである。

米シティ:1兆8600 億円の評価損  毎日新聞 2008年1月15日
米シティ、焦げ付きで損失2.4兆円 2008年1月15日 読売新聞
みずほコーポ、米メリルに1400億円出資 2008年1月15日日経
米サブプライム問題で減速 日本の成長率1.7% 国連経済見通し 
2008.1.10 産経新聞

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米シティ:1兆8600億円の評価損 サブプライムで最大
毎日新聞 2008年1月15日
 【デトロイト(ミシガン州)斉藤信宏】米金融大手のシティグループは15日、07年10〜12月期決算を発表し、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きによる証券化商品の資産評価損が174億ドル(約1兆8600億円)に上ったことを明らかにした。その影響で、純損失が98億3000万ドルとなり、シティは大幅赤字に転落した。これまでに欧米の大手金融機関が計上したサブプライムローン絡みの損失としては最大規模。
 シティは同決算を受けて、自己資本の減少を避けるため、シンガポール政府投資公社(GIC)などから125億ドルの出資を受け入れる方針を発表した。また株主への配当を引き下げることや、大幅な人員削減を含むコスト削減策も打ち出した。
 シティは昨年11月に、既に最大110億ドルの評価損の計上見通しを明らかにしてチャールズ・プリンス会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁から75億ドルの出資を受ける方針を決めたが、その後の金融市場の環境悪化や連結対象外の投資目的会社の連結化で、資産評価損が大幅に増加した。サブプライムローン関連の証券化商品は評価が難しい上に、同じ証券化商品に組み込まれたサブプライム以外の住宅ローンでも評価損が膨らんだ。
 サブプライムローン問題を巡っては、米証券大手メリルリンチが07年7〜9月期に79億ドルの損失を計上して6年ぶりの最終赤字に転落、オニール会長兼CEOが辞任に追い込まれたほか、スイスUBSも昨年12月、新たに100億ドル(1兆1200億円)の損失処理を発表、累計損失は1兆6000億円に膨らみ、GICなどの出資で総額1兆9200億円の巨額増資を実施する方針を発表している。
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米シティ、サブプライム焦げ付きで損失2・4兆円
2008年1月15日 読売新聞
 【ニューヨーク=山本正実】米銀行最大手のシティグループが15日発表した2007年10〜12月期決算で、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に伴う損失が222億ドル(約2兆4000億円)に達した。
 同期の純利益は、98億3300万ドルの赤字(前年同期は51億2900万ドルの黒字)と、同行の四半期決算として初めて赤字に転落した。シティは、財務基盤を立て直すため、シンガポールの政府投資公社など米国内外の投資家から計145億ドル(約1兆6000億円)の出資を受け入れる。
 2007年12月期の通期決算の純利益は、前期比83%減の36億1700万ドルの黒字だった。
 追加損失は昨年11月時点の予想(最大110億ドル)の約2倍に膨らみ、同7〜12月の損失額は計286億ドルに達した。四半期の赤字決算は、1998年にトラベラーズ・グループとシティコープの合併でシティグループが発足して以来、初めて。
 巨額の損失を計上したのは、同行が保有する債務担保証券(CDO)などの評価損が拡大したほか、損失含みの簿外の投資目的会社を連結対象に加えたことなどが要因とみられる。
 一方、資本増強は、昨年11月に決定したアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁による75億ドルの出資と合わせると、計220億ドルにのぼり、いずれも欧米の主要金融機関で最大規模となる。出資者には、サウジアラビアの著名投資家、アルワリード・ビンタラール王子やクウェート投資庁なども加わるとみられる。中国の政策銀行「国家開発銀行」は中国政府の反対で出資に応じない見通しだ。
 シティは、日興コーディアルグループを完全子会社化する際の株式交換比率を1月15〜17日のシティの株価などを基準に決める予定で、シティの株価動向も注目される。
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みずほコーポ、米メリルに1400億円出資・サブプライムで支援
                  2008年1月15日日経
 みずほコーポレート銀行が米証券大手メリルリンチに約1400億円出資する方向で最終調整に入ったことが15日、明らかになった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で多額の損失を抱えたメリルが増資引き受けを要請、一部をみずほコーポが引き受ける。近く発表する見通し。邦銀が米欧の大手金融機関に資本参加するのはバブル崩壊後初めてとなる。
 昨年夏に表面化したサブプライム問題を受け、米欧の大手金融機関は軒並み数千億円以上の関連損失を計上。資本の目減りを穴埋めする増資策を次々と打ち出している。メリルも昨年末にシンガポールの政府系投資ファンドなどから約7000億円の出資を受けると発表していた。(16:01)
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米サブプライム問題で減速 日本の成長率1・7% 国連経済見通し 
2008.1.10 産経新聞
このニュースのトピックス:サブプライムローン
 【ニューヨーク=長戸雅子】国連は9日、世界経済に関する年次報告書を公表、2008年の世界全体の経済成長率は3・4%と、07年(実績見込み)の3・7%から減速するとの見通しを示した。
 報告書は「米国の住宅市場バブルがはじけ、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題が世界金融市場に不安をもたらした」と指摘。「米国の問題が世界的な景気後退を誘発する恐れ」も示唆して、最悪のシナリオの場合は1・6%にとどまるとした。
 報告書は中国が5・0%(07年実績見込み5・4%)、インドは8・2%(同8・5%)と途上国の経済成長には好調な見通しを掲げたが、ドル安が進んだ場合、ドル建ての資産に影響を及ぼす可能性があると指摘した。
 08年の米国の成長率は2・0%(同2・2%)、日本は米経済の影響を受け、輸出や輸出関連投資に影響が出るとみられ、07年実績見込みの2・0%から1・7%に鈍化する見通しとなった。

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石田ふたみ