『日々の映像』

2007年08月24日(金) 中越沖地震の記録 (44)

1、刈羽3号機変圧器の火災、地盤沈下で絶縁油が漏れ引火 読売新聞
2、復興対策で関係省庁が初会議  新潟日報
3、柏崎商店街、9店が廃業検討  新潟日報
4、原発炉心点検 信頼回復へ入念な作業が大事だ 読売社説



1、刈羽3号機変圧器の火災、地盤沈下で絶縁油が漏れ引火 読売新聞
 東京電力は23日、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発3号機の変圧器から出火した原因について、地盤沈下で内部の絶縁油が漏れ、引火したとする調査結果をまとめ、甘利経産相に報告書を提出した。
 報告書によると、原子炉建屋と変圧器を結ぶ電気ケーブルの支柱が地震で20〜25センチ沈み込んだ。その衝撃で、変圧器側の磁器製絶縁体(直径約20センチ)が破損し、変圧器内部の絶縁油が漏れ出した。同時に、金属製の管に覆われていた電気ケーブルが中でショートするなどして火花が生じ、漏れた絶縁油に引火したという。
 東電は、再発防止策についても、まとまり次第、報告することにしている。
(2007年8月23日21時19分 読売新聞)

2、復興対策で関係省庁が初会議
 中越沖地震から1カ月が過ぎたことを受け、内閣府は23日、初めて「復旧・復興対策に関する関係省庁局長会議」を東京都内で開いた。
 会議の冒頭、溝手顕正防災担当相は被災地を21日に視察したことに触れ「復興への動きが加速してきたが、商店街や信越線の復旧、個人住宅の再建など課題が残っている」と強調。「地元の要望を聞き、被災者が一刻も早く元の生活に戻れるよう政府一体で取り組む」と呼び掛けた。
 その後、内閣府の担当者が、県から出された約60項目の復旧・復興関連の要望を説明。これに対し、「風評被害対策として省関係団体主催の大会、会議などを新潟県内で開くよう依頼する」(国土交通省)、「教員対象に子どもの心のケア対策説明会を開く」(文部科学省)など、各省庁の対策も紹介された。
2007年08月23日



3、柏崎商店街、9店が廃業検討
 中越沖地震で被災した柏崎市の中心商店街で、9店舗が廃業を検討し、17店舗が資金難などのため再開のめどが付いていないことが22日、県と同市、柏崎商工会議所の共同調査で分かった。また、営業を再開した店舗でも売り上げの減少を不安に感じているケースが多いことが判明した。
 調査は、同市中心部の東本町2丁目商店街、駅前商店街など10商店街の280店舗を対象に実施。約88%に当たる247店舗から回答があった。このうち、201店舗は既に営業を再開、20店舗は再開の準備を進めている。
 廃業を検討している9店舗のうち7店舗が「高齢」を理由に挙げた。回答者全体の平均年齢60・9歳に対し、9店舗の平均年齢は75歳と上回っている。柏崎商工会議所は「後継者がおらず、再建のためにこれ以上の資金負担ができないという人が多い。地震がなければ今、廃業するようなことはなかった」と指摘する。
 「建て替えや修繕の見通しが立たない」「再開しても売り上げが見込めない」などを理由に、再開のめどが付いていない店舗も全体の6・9%を占めた。
 営業を再開した店舗も含め、特に困っていることを聞いた項目では、「来客の減少」(42店舗)、「売り上げの減少」(26店舗)、「市全体の消費低迷と購買力の低下」(17店舗)となっている。
 県商業振興課では「店舗の再建はもちろんだが、中心市街地のにぎわいをいかに回復していくかが大きな課題。地元の意向を聞きながら支援していきたい」としている。
2007年08月23日



4、原発炉心点検 信頼回復へ入念な作業が大事だ(8月22日付・読売社説)
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、地震による原子炉への影響を調べる作業が始まった。
 原発の中核部分だ。大きな損傷が隠れていないか。補修が必要なほど傷んでいるところはないか。見落としがないよう、点検には万全を期さねばならない。
 原子力安全委員会や経済産業省原子力安全・保安院も、東電による点検の手順や結果が妥当かどうかを判断する必要がある。地道に信頼を積み重ねて行く。それが早期の運転再開につながる道だ。
 地震で、全部で7基ある原子炉のうち運転中だった4基は自動停止した。3基は定期点検中で停止していた。
 いずれも、外部からは安全性を損なうような傷は見つかっていない。
 今回の点検は、激しい地震の揺れでも炉内部の健全性は保たれたかどうかを確認することが最大のポイントだ。結果は速やかに、わかりやすく、公表しなくてはならない。
 地震の直後、政府、東電は、不安拡大を食い止める効果的な対応ができなかった。風評被害も深刻化した。点検を通じて、原発の耐震安全性に対する誤解や不安を解消することが求められる。
 点検では、まず地震発生時に定期点検中で炉のふたが開いていた1号機の炉にカメラを入れて調べる。炉のふたを開けるクレーンが損傷した原子炉もあり、7基すべての点検が終わるには、1年以上かかるとみられている。
 原発を襲った過去最大の地震だ。安全性を確認するのに、それなりの時間がかかるのは、やむを得ない。
 国内の他の原発にとっても他人事ではない。中越沖地震の規模が全くの想定外だったことを踏まえると、耐震安全性のチェックを急ぐ必要がある。
 原子力安全・保安院は、他の原発についても、仮に柏崎刈羽原発を襲ったのと同じ揺れが来たらどうなるか、検討するよう指示している。さらに、多くの原発で周辺の断層を追加調査する。着実に取り組むことが大切だ。
 心配なのは、電力の安定供給、ひいてはエネルギー安全保障への影響だ。
 お盆明け後も猛暑は続き、冷房用などの電力需要が伸びている。柏崎刈羽原発が停止している東電は、気温35度以上の猛暑日が続けば、供給力不足となる恐れがあり、綱渡りの状態だ。省エネや節電を呼びかけており、電力利用者も協力して乗り切るしかない。
 原発の重要性を考えれば、大きな地震に余裕を持って耐えられる安全性向上策も今後、検討して行くべきだ。
(2007年8月22日1時19分 )

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石田ふたみ