『日々の映像』

2007年06月30日(土) <ニート調査>8割が就労経験があった。

厚生労働省は28日、働いても学んでもいないニートの状態にある若年者の実態について調査結果を公表した。この概要を箇条書きで整理したい。
1、調査では、64.4%が「人に話すのが不得意」と回答している
2、「職場で友達をつくる」(64.6%)などに苦手意識を示した。
3、就業支援の取り組みでは、43.5%が訓練期間内に就業したが、正社員は19.1%だけで、アルバイトが49.4%、契約社員などは21.9%。約4割が月収10万円程度で経済的な自立は難しい。
4、報告では、単なる就労支援でなく、コミュニケーションに苦手意識を持つなどの特徴を踏まえた支援などが今後の課題と提言している。
5、ニート状態に関しては「仕事をしていないと後ろめたい」(82.8%)など精神的な負担になっていることも分かった。
6、 ニートは06 年で約62万人いると推計されている。 (毎日新聞  6月28日 から)
ここでは事実のみを記述し感想意見などは書き込み欄で行いたい。

〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

新しい物質経済
http://www.earthpolicy.org/Books/Seg/PB2ch12_xx5.htm

レスター・R・ブラウン

自然界では、一方向の直線的な流れは長続きしない。また拡大し続ける経済にお
いても、それが地球生態系の一部である以上、一方向の物質の流れは、長く持続
し得ない。問題は、自然と共生できるように、物質経済をいかに設計しなおすか
ということである。過去半世紀にわたって進化してきた使い捨て経済は、異常な
ことであり、今やその使い捨て経済そのものが歴史のガラクタの山に向かいつつ
ある。

ここ10年間に、原材料の使用量削減の可能性について3つの専門的な研究が行な
われてきた。初めに、環境保護主義者であり、ドイツ連邦議会の議員でもあった
エルンスト・フォン・ワイツゼッカー(ヴッパタール気候、環境およびエネルギー
研究所前所長)が「ファクター4(Factor Four)」を提唱した。

これは、現代の産業経済は、天然原料の使用量を当時のわずか4分の1に減らし
ても非常に効率的に機能するというものであった。この考えは、その数年後に、
フリードリヒ・シュミット=ブレーク(Friedrich Schmidt−Bleek)の指導によ
りフランスで設立されたファクター10研究所(Factor Ten Institute)に引き継
がれた。彼らは、資源生産性を現在の10倍まで上げることができるとし、それは、
適切な奨励策があれば、既存の技術と管理方式で十分に達成できると結論付けて
いる。

2002年にアメリカの建築家ウィリアム・マクドノウとドイツの化学者ミヒャエル
・ブラウンガートが共同執筆した『Cradle to Cradle: Remaking the Way We
Make Things』(仮邦題:ゆりかごからゆりかごへ:ものづくりの新しい方法)
である。彼らはこの中で、廃棄物と汚染はいかなる犠牲を払っても避けるべきも
のであると主張。マクドノウは、「汚染は設計上の欠陥を象徴するものである」
と述べている。

原材料の使用量を減らすカギの一つは、鉄のリサイクルである。他のあらゆる金
属の使用量を合わせても、鉄の使用量には及ばない。鉄はその大半が自動車、家
電、建設産業によって使用されている。米国では、鉄を主原料とした製品の中で
リサイクル率が最も高いのは、自動車である。今日の車は価値がありすぎて、人
目につかない廃品置き場に放置してさび付くままにしておくには、あまりにももっ
たいないのである。

家電製品のリサイクル率は90パーセントと推定されている。2003年の米国でのス
チール缶のリサイクル率は60パーセントとなったが、その要因の一つは、1980年
代後半に始まった地方自治体のリサイクル活動であった。

米国では、2003年の鉄鋼生産において、約71パーセントがくず鉄、29パーセント
が鉄鉱石を原料としていた。鉄のリサイクルが増加し始めたのは、一世代以上前
の電気アーク炉の導入時期にさかのぼる。電気アーク炉を利用すれば、くず鉄か
らの鉄鋼生産が可能であり、鉄鉱石から生産する場合と比べ、3分の1のエネル
ギー使用ですむ。また、採掘を必要としないことから、環境破壊の源の一つを完
全に絶つこともできる。米国、イタリア、そしてスペインでは、リサイクル用電
気アーク炉が、全鉄鋼生産量の半分以上をまかなっている。

人口が安定し、成熟した工業国では、必要な鉄鋼のほとんどを、比較的容易にく
ず鉄のリサイクルによってまかなうことができる。なぜなら、経済の中で使用さ
れている鉄の量が基本的に一定だからだ。家電、自動車、建物の数は全く増加し
ないか、増加してもわずかである。

しかしながら、工業化が始まったばかりの段階にある国々では、インフラ――工
場、橋、高層ビル、または、自動車、バス、電車を含む輸送手段――の構築を必
要としており、リサイクルにまわす鉄はほとんどないのである。

だが経済のしくみが改まれば、それまでの鉄鉱山をしのぎ、電気アーク炉を擁す
る小規模製鉄所(ミニミル)が台頭してくるだろう。電気アーク炉のあるミニミ
ルでは、くず鉄を効率的に鉄鋼製品へと仕上げることができるからだ。

そして先進工業国では、天然原料よりもまず、それまでの経済活動で蓄積されて
きた材料に頼るようになるだろう。鋼鉄やアルミニウムなどの金属の場合なら、
利用する過程で生じる損失もごくわずかだ。適切な政策がとられれば、金属は永
久に利用され、再利用されうるのである。

建設業界でも近年、古い建物を解体する際、後で建材を再利用できるよう分解す
るようになっている。例えば、米国最大の総合金融サービス企業「PNCファイ
ナンシャルサービス(本社:ペンシルバニア州ピッツバーグ市)」が、ビジネス
街に建っていた7階建てのビルを解体した際、主に発生したのは、2,500トンの
コンクリート、350トンの鋼鉄、9トンのアルミニウム、そして天井用発泡タイ
ルだった。

このうち、コンクリートは粉砕され、公園になる予定の現場に埋められた。鋼鉄
とアルミニウムはリサイクル。天井用タイルも製造業者の元に戻され、リサイク
ルされた。この一連のリサイクルで、およそ20万ドル(約2,400万円)の廃棄処
分費用を節約したことになる。建物をただ取り壊すのではなく分解していくこと
で、使われている材料のほとんどがリサイクルできるのだ。

ドイツでは、また最近では日本でも、自動車、家電、事務機器などの製品を、簡
単に分解して部品をリサイクルできるようにデザインすることが義務付けられて
いる。日本では、2001年5月、家電リサイクル法が国会で制定されたが、この法
律は厳しく定められたもので、洗濯機やテレビ、エアコンなどの家電製品の廃棄
を禁じている。

消費者は、リサイクル業者に廃棄処分費用(冷蔵庫1台に対して約7,000円、洗
濯機1台に対して約4,000円にもなる)を支払う形で、家電のリサイクル費用を
負担しているため、家電製品をより安く簡単に分解できるようデザインすること
が強く求められているのだ。

中でもコンピュータは、技術が進歩するにつれ、わずか数年で時代遅れとなって
しまうため、エコ・エコノミーを構築するためには、すばやく分解・リサイクル
できるようにすることが最優先課題である。

また、材料のリサイクルだけでなく、飲料容器などの再利用を促進する対策もあ
る。たとえば、フィンランドは清涼飲料への使い捨て容器の利用を禁止し、カナ
ダのプリンスエドワード島は詰め替えできない飲料容器を一切使わないことに決
めた。どちらの場合も、埋め立てごみの発生量は急激に減っている。

何度も使えるガラスビン1本を詰め替えるのに必要なエネルギーは、アルミ缶1
本のリサイクルに必要なエネルギーの約10パーセントにすぎない。使用済みビン
1本を洗浄、殺菌し、ラベルを貼り直すにはさほどエネルギーを要しないが、融
点が摂氏660度のアルミ缶をリサイクルする過程では大量のエネルギーを必要と
するのだ。

再利用できない容器の使用を禁止すれば、三方で利点が発生する。「材料とエネ
ルギーの使用量」「ゴミの発生量」「大気と水質の汚染」が同時に削減できると
いうわけだ。

さらに、輸送燃料も節約できる。なぜならこの場合、容器を単純にもともとの瓶
詰め工場あるいは醸造所へ戻すだけで済むからだ。詰め替えできない容器を使用
してリサイクルするとなると、それがガラスであろうとアルミニウムであろうと、
溶かして、新たに成型し、また瓶詰め工場や醸造所へと送り出す容器製造工場に
どうしてもいったん運ばなくてはならない。

完全に汚染物質の排出をゼロにするために、製品のデザインにもまして欠かせな
いのが、製造工程のデザインを見直すことである。今日の多くの製造工程は、経
済規模が今よりもずっと小さくて、汚染物質の量が生態系を圧迫していなかった
時代に発展した。現在、「これでは続かない」と自覚する企業が次々と増えてお
り、中にはデュポンのようにゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を目標に掲げる企
業も出てきた。

廃棄物を削減する別の方法として、生産の一工程から生じる廃棄物を別の工程の
原料として利用できるように、体系的に工場を集約させることもできる。日本の
大手電子機器メーカーであるNECは、他社に先駆けて、自社のさまざまな生産
施設にこの方法を取り入れた多国籍企業の1つである。

実際、工業団地は企業と行政が共に設計に関わり、特に利用可能な廃棄物を排出
する工場同士を組み合わせるよう工夫されている。現在、産業界では、まるで自
然界のように、どこかの企業の廃棄物が別の企業の原料(食物)になるのである。

政府の調達方針により、劇的にリサイクルが促進される場合もある。例えばクリ
ントン政権が1993年に出した大統領令では、「政府が購入する紙はすべて、1995
年までに、古紙配合率20パーセント以上(2000年までには同配合率25パーセント)
の再生紙にすること」と規定した。これにより、製紙会社はこぞって製造工程に
古紙を配合するようになった。米国政府の紙購入量は世界一であるため、この大
統領令により再生紙市場が急速に成長することになった。

原料依存度の低い新技術もまた、原料の使用削減に役立つ。広く分散する電波塔
や衛星を利用して信号伝送する携帯電話は、今や発展途上国では完全に主流になっ
ている。つまり、先進国が行ってきた何百万マイルもの銅線敷設のための投資は、
途上国には不要なのである。

環境団体がその社会的価値を疑問視している産業の一つが、ボトル入り飲料水業
界である。520万人の会員からなる組織WWF(世界自然保護基金)は、2001年
に発表した研究で、先進諸国の消費者に対してボトル入り飲料水を購入しないよ
う訴えた。研究の結果、「ボトル入り飲料水は、水道水と比較して1000倍以上も
値段が高い場合があるにもかかわらず、特に安全であるとか健康的というわけで
はない」とわかったからだ。

WWFによれば、米国や欧州では、水道水の品質基準は、ボトル入り飲料水より
も詳細に定められている。先進各国における巧みなマーケティングにより、多く
の消費者が「ボトル入り飲料水の方が健康的である」と思い込んでいるが、WW
Fの研究で、この説を裏付けるものは何も見つからなかった。また一部の発展途
上国の都市のように、飲料水が安全ではないところに住むものにとっては、ボト
ル入り飲料水を買うよりも、沸騰させるかろ過する方がはるかに安くて済む。

ボトル入り飲料水の利用がなくなっていけば、何十億本ものペットボトルや、水
の運搬・配達のためのトラックが要らなくなるだろう。そうなれば、トラック輸
送によって生じる交通渋滞、大気汚染、二酸化炭素レベルの上昇などもなくなる
だろう。

次に、金鉱採掘が環境に与える影響についてざっと見直すと、「そもそも金鉱採
掘産業は社会にとってプラスなのか?」という疑問が湧いてくる。水銀やシアン
化物を大量に環境中に放出するだけでなく、年間2,500トンの金を生産するのに、
7億5,000万トンもの鉱石の処理が必要になる。これは、10億トンの粗鋼を生産
するのに25億トンの鉱石が処理されるのに次いで、2番目に多い処理量である。

毎年採掘される金の総量の8割以上が、宝飾品の製造に使用されている。宝飾品
は、世界の人たちのうち、ほんの一握りの富裕層がステータスシンボル、つまり
富を誇示する手段として身につけることが多い。

トルコの環境活動家として広く尊敬を集めるビーセル・レムケは、金鉱採掘の今
後に疑問を投げ掛ける。広大な地域を、彼女いわく「月の砂漠」に変えるほどの
価値があるのかと。レムケは「金」そのものに反対しているのではなく、金の鉱
石を処理する際に放出される、シアン化物や水銀といった極めて有害な化学物質
に反対しているのだ。

金に正当な市場価格をつけるなら、課税することだ。その税収を、水銀やシアン
化物といった採掘による汚染の浄化と、鉱山地帯の景観修復にあてるのだ。こう
した課税により、この貴金属のために社会が負担しているあらゆるコストが価格
に反映されるため、金の価格は数倍に膨れ上がるだろう。

原料の使用を削減するもう一つの選択肢は、使用を促している助成金を撤廃する
ことだろう。アルミニウム産業ほど、こうした助成金を受けている産業はない。
たとえば、オーストラリアのシンクタンクであるオーストラリア研究所(The
Australia Institute)の報告によると、同国の製錬業者は、助成金の支給を受
けて驚くほど安い料金で電力を購入している。他の産業は1キロワット時当たり
約3.1〜3.7円支払っているのに対し、製錬業者は約0.8〜1.7円しか支払っていな
いという。

この巨額の助成金がなければ、私たちが使い捨てのアルミ製飲料容器を手にする
こともないのかもしれない。このアルミニウムへの助成金は、間接的に航空産業
と自動車産業への助成にもなっており、結果的に、エネルギーを大量に消費する
移動を奨励しているのである。

物質経済を脱するための政策上の構想で、最も広く知られているのは、現在提案
されている化石燃料の燃焼に課す税金である。この税金は、石炭・石油の採掘、
それらの使用による大気汚染、気候変動のために社会が負担しているあらゆるコ
ストを反映するものだ。この炭素税によって、エネルギー価格はより現実に即し
たものとなり、その価格がエネルギーを大量に消費する物質経済に浸透し、原料
の使用量削減を促すだろう。

物質分野のエコ・エコノミーを構築する際の課題は、市場が常に偽りのないシグ
ナルを送れるようにすることである。エルンスト・フォン・ワイツゼッカーの言
葉を借りれば、「課題は、市場に生態学的な真実を語らせること」となる。市場
に真実を語らせるには、炭素税だけでなく埋め立てごみ処理税も必要である。そ
れによって、ごみを生み出す人たちがそれを一掃するコストを全面的に負うこと
になるのだから。

(翻訳:藤津、荒木、長谷川、長澤)

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石田ふたみ