| 2002年06月07日(金) |
「自社買取」10兆円規模 |
日本の株価が低迷している最大の原因は、生保・銀行が保有株式を売却していることである。生保の01年の売り越し額は「過去最大の4兆円超に達した」(5月9日 日経)という。生保は表のとおり株式保有のピーク10兆円余り減少させている。そして、この02年度も大手生保7社だけで「1兆円強減らす計画」(同)だというがこの株式を誰が買うのだろう。
銀行の株式の売却予定は、生保の比でない。1行当たり8000億円から1兆5000億円の売却計画である。「大手行の持ち合い株売却額は、前期の5兆4000億円を大きく上回る可能性がある」(5月29日 日経)という。銀行は表のとおり、保有株式を自己資本内まで圧縮する方針なのだ。この銀行の株式売却方針は、どう考えても強烈な株価の下落圧力となる。
この銀行の株式の売却を企業が「自社株買い」(昨年10月商法改定金庫株が解禁された)と言う形で対応しようとしている。表のとおり「今年1〜5月に自社株買いを発表したのは720社。取得予定額は7兆9514億円」(5月31日 毎日)で、最終的に10兆円規模になると予測されている。銀行の5兆円を超える売却予定を企業が金庫株として買い取る構図が鮮明になってきた。よって、現行の株価が大幅に下落することはないかも知れない。
この自社株買いのトップは「ソニーの6500億円」(同)ソニーは戦略的に自社株を大量に保有するようだ。これだけの自社株を保有すれば、株式交換によって、株式時価6500億円の会社を買収することが可能なのである。
|