『日々の映像』

1997年02月14日(金) 北朝鮮の黄(フアン)書記の亡命

 南北の歴史にその名を留める人物が登場した。北朝鮮の黄(フアン)書記の亡命である。亡命の動機の書面に「労働者、農民たちが飢えているのに、理想社会を建設したと騒ぎ立てる人を、どうしてまともな神経を持った人間ということが出来ようか」と言っているのだ。
 
 黄(フアン)書記が韓国の実業家に送った手紙はさらに鮮烈である。「自分だけを崇拝するよう強要し、無条件に服従させる独裁体制を築いた。すべての功績は、自らのものとし、過ちは全て部下のせいにしている。これが、まさに彼の偉大性の正体だ」果たして、北の現体制はどれだけ続くことだろう。
 
 このナンバー2の大物書記の亡命という火が燎原に広がるのだろうか。「将軍様は天才だと自画自賛し、最近では自分が本当に天才だと思うようになった」というから深刻である。現代性のままでは、飢えという悲劇の絵巻を歴史に刻むだけのように思う。
書面はさらに続く「悩みに悩んだ末、民族を不幸から救うため・・・自分の運命については、時代の流れに任せ、自分の行動の評価は歴史にゆだねる。・・・可能なら最後(死)の瞬間まで、南と北の和解と統一の役に立ちたいだけだ。・・・」
 
  ・すべて捨て 祖国を想う この人を 時代の英知は いかに処せんや

 今日の日報によれば「北朝鮮の国民が、政府から配給されている食糧は、1日100グラム(米0.6合)〜150グラムで必要最低限の4分の1。4月から5月に底をつくと、本格的飢餓が発生する危険が高い」と指摘している。1日茶碗1杯の米で、どうして食料生産の労働が出来ようか。

  ・この世紀 最後の悲惨か 飢えの群れ 主体思想の 顛末いかん

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石田ふたみ