『日々の映像』

1997年02月10日(月) 入広瀬村:雪国の春

 昨日の午後は、東京国際マラソンを見る。陸上では最も人気にあるのがマラソンである。最も厳しいスポーツのせいであろう。肉体の限界に挑むと共に、強靭な精神力のもち主でなければ一流になれない。われわれはマラソンを通して、肉体と精神の讃歌を感じているのではないだろうか。

・スポーツが なにゆえ人を 引き付ける 限界挑む 輝く魂
               (1996年12月26日作)

 入広瀬村の「雪下ろしツアー」の名前が全国に広がっている。宣伝費はゼロで入広瀬村の名前が広がっているので、村長さんはホクホクだ。村長さんの言葉を借りると、雪国の意識革命であるという。
 
 ある年アメリカ娘がツアーにやって来て村の青年と恋に落ちた。カップル誕生で村の人口が増えると喜んだ。ところが引力は女性の方が強かった。青年が入広瀬村を去って海の向こうに逆に行ってしまった。さすがの村長さんがっかりであったとのこと。背景に人口減少を食い止めようとする村の努力が滲んでいる。
 
 私は仕事の関係で山地の地質調査を行なう。そんな関係で入広瀬村のような山に囲まれた生活環境が、新潟県のいたるところにある。共通しているのは人口の激しい減少なのである。しかし、視点を変えると山村ほど豊かな生活環境はないと思う。入広瀬村に思いを馳せ少々の短歌を綴ることにする。

  ・大切な 息子取られて 口惜しや 鬼も叶わぬ 恋の力に
  ・雪深き 入広瀬村に 春が来る 四季が織りなす 豊かな自然
  ・冬終わり 萌える春の まぶしさよ 緑一色 漂う香り
  ・木の芽取り 春を味わう 山村の 誇りに燃える 豊かな暮らし
  ・澄み切って いのちを運ぶ 水しぶき 森の鼓動か 流れ果てなし
     

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石田ふたみ