やんの読書日記
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2005年01月05日(水) 青いチューリップ




新藤悦子作
講談社

オスマントルコのスレイマーンの時代
青いチューリップを作り出すことに
信念を持っていた人々と
モスクのタイル画を描く絵師たち
トルコとペルシャの国境の山岳地帯で
暗躍する義賊
たった3個の青いラーレ(チューリップ)のために
様々な人が現れてかかわりあっていく
その人々の中で一番引かれたのは
絵師頭の孫でラーレの研究者の娘ラーレだ
オスマンの世界では偶像禁止
肖像画も禁止されているのだそうだが
ラーレの母はひそかに自分の娘の肖像画を描いていたし
文様を描けと指導する祖父も、最後のほうでわかるのだが
自分の妻の肖像画を描いていたのだ。
ラーレは見たものをそのままに描きたいという欲求があり
祖父の教えに矛盾を感じるのだけれど
最後にはそれが解消される。
囚われの身となった父を助ける旅をして
自分も義賊にとらわれてしまうのだけれど
女首領にすすめられて壁画を描くときのラーレの姿が
一番生き生きとしている。
女首領の父が残した言葉
「パンは飢えを満たし、絵は魂を満たす」いい言葉だ。
青いラーレは2つは盗まれ
最後の1つは燃やされてしまうが
スルタンがラーレに熱狂するあまり
人民の平和を忘れてしまうからだと静かに語る
ラーレの父の誇り高い姿もすばらしい。


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