No._ _ _ _ _ _ _ _ _ Date 2005年12月24日(土) |
メリーオタクリスマス(※冬コミ新刊のサンプルです;) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 真っ白な雪がカダージュの病的なまでに白い肌と美しい銀糸を彩り、その上にヤズーの黒味がかった長い銀糸が零れ落ちる。カダージュは兄の手を握る手の力を強め、もう一方の手のひらで、自分の頬に掛かったヤズーの銀糸をかき上げ、そのままその頬をなぞった。 「ねぇ兄さん、僕がほしい?」 そう告げたその眼差しは、さきほどまでの幼子のようなものとは違って、普段どおりの純粋な狂気を映していた。 カダージュが自分をほしいかと訊くときは、自分がヤズーをほしがっているときだと言うことをヤズーはよく理解している。しかしこんな雪原の真ん中では、と返答を言いよどんでいると、握った手のひらを離してカダージュが両手でヤズーの頬を引き寄せた。 「いらないんだ、僕のことなんて」 短い沈黙を破って言ったカダージュの目は、苛立ちとも失望とも付かない様相を映し出していた。そんなことはない、と告げようとしたヤズーの唇を、カダージュが引き寄せて自身の唇で塞いだ。 カダージュの口付けは子供のように乱暴で、強引にヤズーの歯列を割るとすぐにヤズーの口内に舌先を滑らせた。その舌は熱く、まるで自分の欲望を示しているようだとヤズーは思いながら、カダージュの舌に自分の舌先を絡めて行く。 「これでもほしくない?」 強引な口付けのあと、カダージュはヤズーの頬を覆っていた手のひらを離してその背に縋り付くようにして強く強く抱き締めた。ヤズーはカダージュの抱擁を受けながら、弟の首筋に顔を埋めて、ここじゃだめだ、と小さな声で諭すように囁いて告げる。 「じゃあ帰ろう、帰ったら兄さんは僕の身体を温めてくれるね?」 深い雪の中に埋もれたままのふたりの身体は、厚いラバーの布地を通してすっかり体温を奪われていた。ヤズーは顔を起こしその冷たいカダージュの頬に、まるで優しい口付けをするかのように寄り添わせると、また小さな声で、ああ、と同意を示してみせた。 カダージュはそれで気が済んだようで、兄への抱擁を解くと半身を起こしたヤズーに甘えるように抱き起こされる。そうしてふたりはまた手を取り合い、ヤズーは来たときと同じようにぐいぐいと腕を引かれながらアジトへと足を進めた。深い雪はときにはふたりの足をもつれさせたが、カダージュはそんなことは一切気にせず、ただまっすぐにアジトを目指す。 来たときよりも速いペースで雪原を抜けたため、アジトへ付く頃にはもうふたりの身体は温まっていた。それでもカダージュは自分をほしがり、欲求を満たすまで眠ろうとしないだろうとヤズーは思った。案の定アジトの中のカダージュの寝所についても、カダージュはヤズーの手を離そうとしない。 「いっぱい走ったから身体が暖かくなっちゃったね、でも兄さんは僕がほしいんでしょ? そうだよね?」 そう言ってカダージュはようやく兄の手を離し、返事を待たずにヤズーの服のジッパーに手を掛けた。 「もっと温まろう。兄さんの手で、僕を温めてよ」 カダージュはラバー越しに現れたヤズーの厚い胸板に愛しそうに頬を埋め、そのまま肩まで衣服を脱がした。 「温かいね、兄さんの身体」 うれしそうにそう言いながら、片腕を脱がせ、もう一方の腕も脱がせて行く。分厚いコートを脱がされたヤズーは半裸のまま、素手で縋り付く弟の頬をなでた。 「温かい手だね。もっと触れて、僕の身体に」 そう言われたヤズーは黙って弟を押し倒すと、自分がされたのと同じようにカダージュのコートを脱がしに掛かった。けれどまったく同じようにただ単純に脱がすのではなく、焦らすようにジッパーの先を銜え、ゆっくりと静寂の中に響き渡らせるようにして下ろしてゆく。そうした方がカダージュが悦ぶのだと言うことを経験からヤズーは知っていた。 指先まで覆った部分も歯で挟み込んで引き脱がしてやる。そうやって徐々に時間を掛けてカダージュの素肌を露にして行くのはヤズーも好きだった。少しずつ少しずつカダージュの頼りないまでの白く美しい素肌がヤズーの視界に入って来る。まるで野生の猛獣のようなカダージュは、自分ともうひとりのカダージュの兄、ロッズ以外の誰の手にも負えないだろう。しかしこうしていると、支配欲とはまた違う、今だけはカダージュは自分ひとりを見てくれているのだと言う感慨のようなものが、いつもこの瞬間、ヤズーの心を満たしていた。 「寒くないか?」 すっかり露になったカダージュの上半身を覆い被すように抱き締めながら、ヤズーは正確に脈を刻むカダージュの胸に顔を埋めて問い掛ける。 「ああ、兄さんの身体が温かいからね、でもまだ少し寒いよ。もっと温めて、僕がほしいなら、僕をもっと温めて」 そう言ってカダージュは自分のものとは少しだけ色の違うヤズーの長い銀色の髪を梳き、ねだるようにその頬をなでたあと、自分の唇へと導いた。 強引なカダージュからの口付けではないヤズーからの口付けは、まるで大事な宝物にでもするように優しく甘美なものだった。カダージュは素直に導かれるまま唇を開き、ヤズーの舌を口内へ迎え入れる。じゃれ合うように舌先を絡めたあと、ヤズーはカダージュが悦ぶようにその舌を噛んでやる。ときには出血するほど噛んでほしいとねだるカダージュは、今夜はおとなしくヤズーの甘噛みを受け入れていた。 しばらく長い口付けが続いたあと、ヤズーはカダージュから身体を離し、カダージュの身体の下敷きになったままのコートを取り除き、自分の身体の上から傍に放り出されていたブランケットを羽織った。 「これで少しは寒くないか?」 弟の身体を気遣うようにそう言うと、再びその身体を抱き締め長い銀糸をカダージュの白い肌に散らしながら首筋に口付ける。やはりカダージュが悦ぶようにと、軽く痛みを感じる程度に幾度も幾度も細い首筋を吸い上げた。白い肌に散った紅い印は、兄の目から見てもとても美しく映える。そうしてまた堪能するように口付けをくり返し、子供にでもするようにカダージュの美しく細い髪を梳いて行く。そのさらさらとした感触は指に心地良く、黙ってなでられているカダージュも心地が良さそうだった。 「ねぇ、触ってよ兄さん、僕もうこんなに熱くなってるよ」 言うなりヤズーの手を取って、カダージュはその手を己の下肢に導いた。そこはカダージュが言ったとおり、熱を持って昂ぶりを訴えている。 「兄さんはどう? 僕がほしいんでしょ?」 そう言うと今度はカダージュがヤズーの下肢を弄りはじめた。熱い口付け、肌の触れ合う抱擁に、口付けの合間に漏れ出るカダージュの甘い吐息。ヤズーのそこはカダージュと同じように熱を持ち、硬く昂ぶりを示していた。 「うれしいよ兄さん、兄さんがこんなに僕をほしがってくれて」 ヤズーの残りの衣服に手を掛けながら、カダージュはうれしそうに兄の唇に、まるで動物のように噛み付いてみせる。そうしてまた深い口付けがはじまり、ヤズーもカダージュの残りの着衣に手を掛けた。 互いに重苦しいラバーの服を脱ぎ去ってしまうと、ヤズーはその肌の感触を楽しむようにカダージュの背中に腕を回し再度抱き締め、それから頼りなげなラインを描く肩の線を手のひらで辿りはじめた。カダージュの肌は滑らかで、その髪と同じように触れているだけで心地が良かった。 クリスマスだって言うのにね、徹夜で原稿やってましたよ……。とりあえず後はオリスターさま(母のことです)と地味にオリオリして、表紙の到着を待ち、原画を頂いたらその足でキンコーズへ行きスキャニングして、家へ帰ってタイトルを入れてまたコピーして、オリオリして、ぱっちんぱっちんすれば出来上がりです。 おいおい、本当にぎりぎりじゃないか。しょうがないよね、ものっそい忙しい子に無理してお願いしたんだから。でも前日徹夜は絶対いやよ!! えー内容に関しましては、今回は過激な性描写の部分はアップしませんでした。とりあえず歪んだ兄弟愛です。最近どんどん文章が長くなってしまって、気が付けば大幅にページ数が増えてました。早くロッズ出さなきゃ! 早くロッズ出さなきゃ! もう昨日一昨日からそればっかり。ちゃんと書けてよかった……。 それじゃ今日はちょこっとホームいじって寝ます。と言うか寝かせて。 明日、いっぱい、折らなきゃ……(ナウシカ)。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |