/ 目次 /
ワルツを聴きながら。 2004年02月09日(月)

久しぶりに、彼女に会ってきた。

何年か前と同じ、物腰だった。
相変わらずだ。

じっと見ていたら、
ふふふ、と笑って、
人を威嚇するときは、表情に出さないのが一番よ。
なんて、唇の片端を上げた。

別に、威嚇、しようとしてたわけがない。

昔していたように、
ぶらぶら歩いて、
並木道の銀杏を、臭いと言って、
喫茶店で喋って、
そんで、最後に、電気屋に行った。

彼女は、
電気屋の電気に侵されるみたいで、素敵。
と、いつも言う。

テレビのコーナーに行って、
ちょうど3時半ごろなので、
そのまま競馬を見た。

わーっという声が、
何ヶ所からも、聞こえる。

それを、彼女は、んふふ、と笑う。

彼女と二人、並んで帰る。
あの変わらなかった日常を、思い出す。

彼女のふわふわの髪が、
鼻をかすめる。

私が世界を滅ぼしたら、みんな、幸せになれるよね。
やっぱり、彼女は、微妙に、笑って、残酷を告げる。

だけども、
ああ、そりゃ、幸せになれるだろうなあ。
なんて、普通のことのように思う。

そのまま、二人でぽつぽつ歩いて、
いつも別れていた道で、
あたりまえのように、別れた。

壊れた悲しみと、彼女には、
ワルツが似合っていた。

今日は、あのとき好きだった曲を聴きながら、
よく、眠れそうだ。





↑エンピツ投票ボタン
My追加

感想等、お願いします。




熊野
mail home