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5481ページ 2003年06月22日(日)

一人の男に出会った。

いつも河原に座っていて
草笛を吹いていた。
いつも鳥に餌をあげては
豪快に笑っていた。

そして
彼は河原を通る
中高生に笑われていた。

彼は言った。

「笑うってことは
僕が面白いってことだから。
いいんだよ。」

笑われて
気分がいいとは思えなかった。

彼は気を使っているのか
私から二メートル離れたところから
話しかけた。

「僕の人生はね
作り話みたいなもんなんだ。」

意味がわからなかった。

次の日にはもう
彼はいなくなっていた。

私たちに
大きな傷を
彼は残したけれど

彼は
私たちを一ページにも満たない
登場人物に仕立て上げたのだろう。

彼は今
何ページを歩くのか。

私たちは
名前も知らない男に出会った。





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熊野
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