+--- Cinema Memo ---+
■ クイルズ
2003年06月15日(日)
シャラントンの精神病院。刑務所行きを逃れてこの施設に収容されたサドは、人道主義者のド・クルミエ神父の庇護のもと安楽な暮しを送っていた。が、病院内で執筆した原稿の流出が発覚。シャラントンには、サドを「矯正する」目的で、荒治療で名高いコラール博士が送り込まれる。コラールの体現する偽善的な道徳に、嘲りの態度で歯向かうサド。そのことから執筆の自由を奪われた彼は、文字通り身を削ってインクとペンを作り出し、体制に挑発的な闘いを挑んでいく。
監督-----フィリップ・カウフマン 出演----ジェフリー・ラッシュ ケイト・ウィンスレット ホアキン・フェニックス
音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆☆ 映像・演出☆☆☆☆ 俳優☆☆☆☆ 総合評 ☆☆☆☆
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長さを感じさせず面白かった。美徳と悪徳、エロティックな醜悪、グロテスクな美しさが目まぐるしく入れ替わり、身分や職業、性別関わりなく誰の心にも潜んでいるのだと思わせる。サドは表現することに、コラール博士は権威や支配を死守することに恐ろしいほどの執念を抱き、そのふたつが激しくぶつかりあう。結果、悲劇は周囲の人間にも及んでしまうのだけれど……。
猥褻な言葉はある時はそのままの意味で、またある時は強烈な風刺や毒を孕んで、読聞するものの心になにかを吹き込んでいく。
コラールの娶った修道院上がりの若妻(むちゃくちゃ可愛い)が、あっけらかんと若い建築家とデキてしまうのが可笑しい。けして陰惨なシーンだけの連続ではなくて、ユーモアを上手く取り入れているのが上手い。その後の破綻がより引き立ってしまうんだけど。
わりと若い頃、ジュリエットとかジュスティ―ヌとか読んだのですけど、やっぱり楽しむと言うよりは怯えてしまったんですよね。ストッパーを外すと肉体的にも精神的にもどこまで行ってしまうかわからない怖さがSM的なものにはあるので。過激な表面にとどまらない人間の深淵にまで及ぶテーマではあると思います。
私見では、美爺ふたりに翻弄されるvv神父を演じるホアキンのパラノイアっぷりは、グラディエーターの皇帝に通じるところもあり、よかったですねぇ〜。
個人的にマイケル・ケインが好きなので、彼の演じるコラール博士もむふふでしたわ。ケイト・ウィンスレットも逞しい娘さんを好演。
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Written by
S.A.
映画好きへの100の質問
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