空中楼閣

2004年03月26日(金) 自己が満ち足りる為。

意外と当人ってのは落ち着いているもので。
周囲の人間のが取り乱したりしているわけで。
 
それでも、命がかかると人間って意外と冷静なもので。
必死な時の行動は結構普段より素早くて。
 
けれど、確実に反動は来るわけで。
危機を回避した時とか、一段落ついた時とか。
そういう時に一気に襲ってくるものだったりする。
特に、大きな危機を脱した時なんかは。
その反動も当然、とても大きいものであって。
 
今回も、それを如実に物語っていた。
辿り着いたと安心した途端、まず、震えが走った。
その後は、文字通り、泣き崩れた。
 
私の経験した事の無い危機感。
でも、よく知った感情。
だから、この後に襲う感情も知っている。
 
不安。
 
独りでいると増すばかり。
だから、傍に居てあげたいと思った。
自分が通りすがりの赤の他人である事は重々承知してる。
でも、少しでも不安が和らぐなら。
少しでも自分が傍に居られるなら。
 
とっさに立ち上がろうと思った私の腕を掴む者がいる。
 
「それは、エゴだよ。」
 
あぁ・・・そうだ。
そうだった。
一時的な衝動による自己満足に過ぎない。
いつもそれは良い結果を招かない。
 
けれど、不安は良くない。
孤独は良くない。
得体の知れない黒い影は足元に広がるばかり。
 
「他人への衝動が危険な事、忘れてないだろう。」
 
解ってる。
いつも忘れないように思い出してる。
衝動が手を差し伸べる度に。
でもいつも、衝動の導くままに事を起こしてしまう。
そして常に良くない結末を迎える。
 
けれど・・・。
 
「結局、悪いラストは向こうに訪れるんだよ。」
 
そう、いつも。
不幸に見舞われるのは自分じゃない。
今まで全て。
そして、いつも思い知らされる。
今まで全て。
後悔すら持ってない。
 
 
でも、私は衝動に勝てない。
自分で思い込んでる間は絶対に勝てない。
だから、今回は頼んだ。
衝動を抑えられない私を家に連れて行って。
私の衝動ごと押さえ込んで家に運んで。
 
それから後は薄い記憶でしか残っていないけれど。
幼少時代に歩いた道を通って家に帰った。
玄関からの事は覚えていない。
ぼんやり覚えていられるようになったのは、昼食を食べ終えた自分から。
多分、少ししか食べてないと推測する。
絨毯に腰を下ろし、新聞を広げる。
読む事も見る事も無く、めくる音のみを耳に入れる。
ふらふらとソファに横になる。
日差しが顔に直接当たるので向きを逆にする。
深く沈むのを感じる。
 
目が覚める。
随分と長い時間眠っていたように思う。
今の時間と、かろうじて残る記憶とを繋げて計算する。
3600秒にも満たない。
 
 
そしてまた思い知らされる。
後悔すら残されてない。


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亨 [MAIL]

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